皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ぷちレコードさん |
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平均点: 6.32点 | 書評数: 242件 |
No.4 | 7点 | 奪取- 真保裕一 | 2024/09/23 22:18 |
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偽札造りをテーマにした軽いタッチの犯罪小説。
三部構成で、第一部は若者二人が銀行ATMを誤作動させる偽札造りに挑む。第二部では本格的になり、偽札造りの達人とその弟子が実物と見分けがつかない偽札を造るべくミツマタの木を植えるところから組み始める。第三部はその先、銀行やヤクザを相手に偽札の換金を行うさまを描いたコン・ゲーム小説。各部それぞれに独特のアイデアが駆使され、痛快な読後感が味わえる。 |
No.3 | 5点 | 栄光なき凱旋- 真保裕一 | 2023/07/30 22:31 |
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三人の日系二世を主人公にしている。日本軍による真珠湾攻撃で人生が暗転し、日系人たちが強制収容所に送られるなか、ある者は法廷の場で争い、ある者は語学兵として米陸軍情報部に入り、ある者はハワイの国防軍へ志願する。
日系人として逆境にありながらも、米国を祖国とみなすのだが、やがて両親が生まれ育ったもう一つの祖国への思いが強まる。二つの祖国があるゆえに、愛国心のありかは複雑となり考えさせられる。特に終盤、日系アメリカ人のみの軍隊、第四四二連隊の欧州での死闘を描いてテーマ把握を強くしている。 |
No.2 | 6点 | おまえの罪を自白しろ- 真保裕一 | 2023/04/28 23:13 |
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冒頭で三歳の幼女が誘拐される。犯人の要求が身代金ではなく政治家の祖父の汚職の罪の自白であるところが意表を突く。マスメディアを使ってスキャンダルを広める策略も、その指示をウェブサイトに書き込む周到さも現代の犯罪ならでは。今や日常茶飯事となった謝罪会見や身近なネットの脅威が臨場感たっぷりに描かれる。
さらに政治家同士と忖度や家族間の愛憎、警察との駆け引き、露になってゆく過去。やはり弱い者が犠牲になるのかと幼女の安否にハラハラドキドキで息もつかせない。しかも手の込んだ伏線が幾重にも張り巡らされているので、タイトルを逆手にとった鮮やかな事件の解決まで、これでもかと翻弄させられる。 随所に鋭い舌鋒が展開されるが、著者は単純な勝ち負けを良しとしない。ほろ苦い決着がそれを物語っている。 |
No.1 | 5点 | 誘拐の果実- 真保裕一 | 2022/03/24 23:06 |
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東京と神奈川で連続して起こった二つの誘拐事件の顛末を正攻法で描いている。
被害者の家族が、大掛かりな芝居を打つ第一章のサスペンスは出色の出来映え。第二章の有価証券を利用した身代金受け渡しの着想も面白いが、物語は「誘拐ミステリ」の定石を踏まえながら、二転三転するコンゲーム小説の様相も帯びてくる。 惜しむらくは、二人の人質が戻ってきた後の展開が、なんとなく読めてしまうことでしょう。 |