皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ぷちレコードさん |
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平均点: 6.32点 | 書評数: 242件 |
No.3 | 10点 | 硝子の塔の殺人- 知念実希人 | 2022/07/27 22:56 |
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孤立した奇妙な館、連続密室殺人事件、ダイイングメッセージ、エキセントリックな名探偵、暗号、読者への挑戦状。本書には、本格ミステリならではのネタが、これでもかと詰め込まれている。先達の作品の言及も多く、本格ミステリファンならば、楽しく読めるのではないか。なかでも一九八〇年代後半からの新本格ムーブメントの原点になった「十角館の殺人」の扱いには驚いた。
しかもストーリーが凝っている。物語は、第一の殺人の犯人の視点である遊馬の視点で進む。彼は月夜の助手になり、第二第三の殺人の犯人に、自身の殺人もなすりつけようと考えている。これにより異様なサスペンスが生まれている。 事件の真相はびっくり仰天。本格ミステリを愛する作者が、ジャンルに捧げた大いなるオマージュといっていい。だから、本格ミステリについて、名探偵という存在について、深く考えずにはいられない。 |
No.2 | 7点 | 傷痕のメッセージ- 知念実希人 | 2021/07/30 23:07 |
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医療の専門知識を生かしつつ、家族の絆を問うスリリングな展開で引っ張っていく。
大学付属病院の女性医師で、外科から病理部へ出向中の千早は、唯一の家族である父をがんで亡くす。かつて刑事だった父の遺言に従い、同級生で指導医の紫織と病理解剖した結果、胃に暗号が刻まれていることが明らかに。同じころ、かつて父が追い、未解決のままだった連続殺人犯「千羽鶴」の犯行が28年ぶりに再開され、2人に忍び寄る。 父が抱えていた謎と現在進行形の殺人事件の絡まり合い方が絶妙。 何よりも作品をユニークにしているのは、司法解剖を担う法医学医ではなく、医学の発展のために解剖する病理医に焦点を合わせた点だろう。探偵役である紫織の死者との向き合い方が、亡き父の声を娘に伝えることにつながり、胸に迫る。 |
No.1 | 7点 | 崩れる脳を抱きしめて- 知念実希人 | 2020/11/28 18:34 |
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恋愛と医療ミステリとの儚くも美しい融合が見事な作品。その中に、現役医師でもある著者の終末医療に対する考え方や患者に向き合う姿勢も垣間見えた気がする。
そして、まるで映画を観ているかのようなラストシーンは、絵画のような表紙と相俟って更に作品の感動を高めていたように感じた。 |