皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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◇・・さん |
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平均点: 6.03点 | 書評数: 181件 |
No.2 | 6点 | 大いなる眠り- レイモンド・チャンドラー | 2020/04/11 14:35 |
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マーロウは私立探偵として報酬のために、堕落した裕福な階層の人々の間で孤独に生きるが、そうしながらも欲に溺れた彼らの赤裸々な人間性を見、その真実に迫っていく。金、セックス、暴力の支配する社会の中で、自己の誠実さを保つタフな彼は、現代に生きるヒーローである。誰からも依頼されていないことへ自ら係わっていくマーロウの行動は意味深い。
1930年代の雰囲気を彷彿とさせながら、そのまま現代に通じる作品であるのは、都市の非情さをマーロウが一身に受け止めていいるせいであろう。そこから作者独特のハードな詩情が漂い出てくる。 |
No.1 | 7点 | さらば愛しき女よ- レイモンド・チャンドラー | 2020/04/11 14:28 |
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これは短篇を寄せ集めたがゆえではあるけれど、無関係に見えるといくつかの事件が、ラストで不意につながってくる展開もすごいし、なにより心象風景の描き方の巧さは感じさせられる。
ある意味ではミステリで、ある意味では文学で、当時の読者はどういうふうに捉えたらいいのかわからなかったという分析もあるけど、今読むと本当にいい配合だと思うよ。芸術とエンタメのバランスが。この比率を考えただけでチャンドラーの名前は残るし、つまりミステリ界に「チャンドラー流」って流派を打ち立てたんだと思う。 |