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八二一さん
平均点: 5.76点 書評数: 397件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.17 5点 この世界、そして花火- ジム・トンプスン 2019/09/26 22:12
禁断の愛を描いた表題作他、暗黒ノワール作家のエッセンス満載。どん詰まり感に酔い、奇妙な味を愉しみ、ホラー作家としての可能性を再認識。

No.16 6点 極限捜査- オレン・スタインハウアー 2019/09/26 22:10
鋼鉄のワイヤーを張り詰めたような緊迫感が全篇を覆う、中年男の懊悩を描いた警察小説。とにかく最後の三十五ページが強烈。国家の独裁化が進む中で、アイロニーと恐怖に彩られた主人公の運命に固唾を呑んだ。

No.15 5点 ポルトガルの四月- 浅暮三文 2019/09/23 10:29
シリアスで濃密な文体が、タッチはそのままスラップスティックと化していく奇妙さ、人の五感の奥深さが作者らしい変態さで表現されていて良い(誉め言葉です)。記憶を巡って右往左往する悪党たちがコミカルで楽しい。

No.14 5点 TOKYO BLACKOUT- 福田和代 2019/09/23 10:23
一流のプログラマーが書き上げたかのような、無駄も無理も余剰もない精緻にして機能美に満ちたサスペンス。犯人の行動に納得できない点はあるが、アクション小説としても楽しませてくれる。

No.13 5点 緑の毒- 桐野夏生 2019/09/23 10:19
男性優位社会の愚かな一面を連続レイプという犯罪を通して描く、滑稽小説。連続レイプ魔と被害者たちの大戦争。誰かが口をつぐんだり保身に走ったりは一切なしの自爆戦。怖いです。

No.12 5点 バイロケーション- 法条遥 2019/09/20 07:31
緊密なルールに基づくホラーサスペンス。ロジカルに制御された緊迫した展開が全編を覆いつくす。ホラー的題材をSFミステリに仕立てており、幕切れも美しい。

No.11 5点 狩場最悪の航海記- 山口雅也 2019/09/20 07:27
幻想冒険譚とミステリが融合した作品。奇想と珍談で構築された壮大なホラ偽史が楽しく、過剰な註釈も蘊蓄満載で愉快。

No.10 5点 栄冠を君に- 水原秀策 2019/09/20 07:23
ことごとく予想を裏切るプロットに楽しませてもらった。心の中の獣性を描いた小説としても水準作。甲子園を目指す野球部の高校生と殺人事件を絡ませるという設定が泣かせる。

No.9 4点 ライフ・ゴーズ・オン- 東山彰良 2019/09/17 14:09
ミステリか微妙だが、この透明な死生観とクールすぎる文体のもたらす酔いはパルプ・ノワールのそれといえる。少年の心のダークサイドをビビッドに描いて、読み手の心をヒリヒリさせる成長の物語。

No.8 5点 死美人辻馬車- 北原尚彦 2019/09/17 14:05
ヴィクトリア朝英国に怪異が発生するという、我々にとって二重の異界化。自家薬龍中のディテールに加え、飄々とした語り口も魅力。

No.7 5点 かいぶつのまち- 水生大海 2019/09/17 14:01
謎解きはストレートだが、そこに至るまでのヒリヒリした青春が痛々しくほろ苦い。「少女たちの羅針盤」の続編。あえて前作のメンバー三人を起用することで効果を上げている。

No.6 6点 無縁塚 浪人左門あやかし指南- 輪渡颯介 2019/09/13 14:41
怪談がミステリに取り込まれ、ミステリが怪談に食い破られ、を繰り返す、怪談の機能に自覚的な佳作。シリーズが進むにつれて展開が地味になるが、小技も含めた謎解きのレベルは高い。

No.5 5点 レッド・マスカラの秋- 永井するみ 2019/09/13 14:38
渋谷・代官山界隈の若い女子の生態を、親近感を持って描き出している。化粧品プロモーションで逆襲に転じて以降がとても楽しい。大風呂敷をひろげない結末も、この小説の世界には自然で満足。

No.4 8点 IQ84- 村上春樹 2019/09/13 14:34
美貌の必殺仕掛人が活躍するパラレルワールドSF。ミステリはもちろん、伝奇ホラーやファンタジーの要素も含まれるサービス満点のエンターテインメント。ただしジャンルの文法はあっさり踏み外す。謎をいくつも提示しておきながら、未解決のまま終えるのは、純文芸作家の特徴だろうか。

No.3 7点 夜去り川- 志水辰夫 2019/09/10 23:55
時代小説に衣を替えてもやはりいいものはいい。構成、筆づかいともに手抜きの無い逸品。スリルあふれる終盤は流石です。

No.2 5点 ピストルズ- 阿部和重 2019/09/10 23:44
それまでのたおやかな空気を破り、伝奇、SF、ホラーの面白さが束になって読者に襲い掛かるクライマックスが圧巻。

No.1 5点 窓の外は向日葵の畑- 樋口有介 2019/09/10 23:35
日本では数少ない実在の土地を舞台にしたスモールタウンものの意識的な書き手による、甘さと苦さが心地よい燻銀のような青春ミステリ

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