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まだ中学生(仮)さん
平均点: 6.57点 書評数: 108件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.3 7点 鵺の家- 廣嶋玲子 2022/06/18 22:34
大富豪の天鵺家が、跡取りの少年・鷹丸の遊び相手を募集した。活発な少女・茜は、守護神の雛里が見えたことでその役に選ばれ、天鵺家の養女になる。
高価な調度品が並ぶ屋敷で暮らし始めた茜は、まず家族全員が鷹丸に冷淡で、謎めいた世話係の静江が鷹丸の面倒を見ている異様さに驚く。天鵺一族が、屋敷の背後に広がる黒羽ノ森から跡取りを殺すために襲撃してくる虫を恐れ、奇妙なしきたりを守り、奇怪な儀式を行う不気味な展開は、まさに和製ゴシック・ホラーといえるだろう。
特に儀式の日、一人で屋敷を守ることになった茜が、天鵺家を呪う虫の大群に襲われる場面は、背筋が凍るほど恐ろしい。やがて茜は、一族の繁栄のため人知れず家族を切り捨てた天鵺家の暗い過去が、呪いを生む原因だったことを知る。
茜が、天鵺家の悲劇を終わらせるため使った方法は、家庭や社会に根を張る「闇」と戦うには何が必要かを教えてくれる。

No.2 7点 十年屋5 ひまな時もございます- 廣嶋玲子 2021/10/26 23:30
絶対に手放したくない大切なものを、時の魔法で10年間預かるという、魔法使いの店が舞台の連作短編集。
いつも客足の絶えない十年屋だが、今回は「預けない」ことを選択する客が続く事態となってしまう。しかも持ち込まれたのは、幽霊にとりつかれている花瓶や、かすかにささやくドクロ、少しくたびれた黒猫のぬいぐるみなど、いかにも深い訳がありそうな物ばかりなのに、預けなかったのは一体なぜなのか。それぞれの事情が、しみじみと胸を打つ。
大人も子供も思い通りにいかないのが人生で、大なり小なり、何かしらの痛みを抱えている。人の心を思いやれるだけの想像力は、いつも磨いていたいものだ。

No.1 6点 十年屋- 廣嶋玲子 2018/11/15 20:43
すっかり使わなくなったし、取って置いても仕方がないのに、どうしても捨てられない、捨てたくない一品。「十年屋」は誰かにとって大切なものを思い出と共に10年間、魔法で預かる魔法使い。預け賃は「依頼主の寿命1年分」。
小さい頃いつも一緒だったぬいぐるみ、壊れた時計、会えなくなった友達と作る約束だった雪だるま。預かれないものはないが、契約を破ると手痛いしっぺ返しが待っているからご用心。他人から見たらがらくたでも、依頼主には命を削っても守りたかったもの。いったいどんな思い出が詰まっているのか。
執事を務めるもふもふの猫カラシのかわいらしいセリフも読みどころ。「銭天堂」「もののけ屋」シリーズで人気の作家が手掛ける心温まる魔法の物語。

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まだ中学生(仮)さん
ひとこと
いい大人ですが、ティーンエイジャー向けの小説を読むのが好きです。そのような作品を中心に感想を投稿していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
好きな作家
採点傾向
平均点: 6.57点   採点数: 108件
採点の多い作家(TOP10)
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クリス・プリーストリー(2)
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