皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
YMYさん |
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平均点: 5.86点 | 書評数: 336件 |
No.76 | 6点 | 特捜部Q 檻の中の女- ユッシ・エーズラ・オールスン | 2019/12/04 20:17 |
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胡散臭い経歴のアサドと気難しいカールのコンビが最高に楽しい。偏屈で頑固だが、実はピュアで要領の悪いカールの人物像は魅力的。さらにミレーデをその過去と心情にまで踏み込んで緻密に描いているせいで、ラストの感動はひとしおだった。 |
No.75 | 5点 | 昏い季節- チェルシー・ケイン | 2019/11/29 19:53 |
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川が氾濫し、水が猛威を振るう米国オレゴン州ポートランドで、手のひらに小さな傷痕のある奇妙な死体がいくつか発見された。相棒の刑事までもが標的となり、アーチーや同僚の刑事たち、新聞記者のスーザンは、意図的に痕跡を残していく大胆な犯人に迫ろうと、必死に謎を追う。
ついに真相に辿り着いた時、堤防が決壊し、町も人も水にのまれる。重い過去を引きずるアーチーと、屈託のないスーザンとの微妙な関係からも目が離せないサスペンス。 |
No.74 | 5点 | 夢幻諸島から- クリストファー・プリースト | 2019/11/23 10:03 |
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著者が描き続けてきた架空世界「夢幻諸島」の学術的ガイドブックの体裁を取っている。はじめは島々の奇怪な生物や不安定な政治状況の解説の形になっているものの、次第に異様な物語が立ち上がり興奮させられた。
英国SF協会賞、ジョン・W・キャンベル記念賞を受賞。 |
No.73 | 6点 | カリ・モーラ- トマス・ハリス | 2019/11/16 13:56 |
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トマス・ハリスといえば、ハンニバル・レクターの生みの親。この作品は、レクターを登場させずに、軽快な犯罪小説に仕上がっている。
マイアミに麻薬王が残した豪邸。コロンビア移民の女性カリ・モーラは、邸宅管理のアルバイトがきっかけで、麻薬王が残した金庫の争奪戦の渦中に飛び込むことに。 レクターが登場する作品に比べれば小粒だが、タフなヒロインと、怪しげな悪役たちの織りなす犯罪活劇を堪能できる。 |
No.72 | 5点 | ケイトが恐れるすべて- ピーター・スワンソン | 2019/11/12 22:36 |
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見知らぬ街で半年間暮らすことになった女性が、隣人の不審な死に巻き込まれるサスペンス。
同じ出来事を複数の人物の視点から語ることで、意外な事実を少しずつ明かし、一方で謎と緊張を増幅させている。物語を語る視点と順序に工夫を凝らして、比較的シンプルな事件を五里霧中の迷宮に仕立て上げた作品。 |
No.71 | 5点 | リトル・ブラザー- コリイ・ドクトロウ | 2019/11/02 10:07 |
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大規模テロが発生した現代のサンフランシスコを舞台に、国土安全保障省を向こうに回して、監視社会に抵抗する高校生ハッカーたちの戦いを描く。
題名が暗示するように、下敷きはオーウェル「一九八四年」。伊坂幸太郎作品を彷彿とさせる青春サスペンスであり、SFでもある。SFが苦手な人にも、ぜひ読んでほしい。 |
No.70 | 5点 | いたって明解な殺人- グラント・ジャーキンス | 2019/10/26 09:44 |
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異常な妻との苦痛な結婚生活に耐えていたアダムだが、週末を愛人と過ごして帰ってくると妻が撲殺されて死んでいた。アダムは弁護士である兄に頼り、法廷闘争を繰り広げ始めるが。
徐々に明らかにされる過去の秘密と現代の事件が絡み合い、二転三転と最後まで続くサプライズが小気味よい法廷サスペンス。 |
No.69 | 6点 | フランクを始末するには- アントニー・マン | 2019/10/20 10:33 |
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ブラックユーモアたっぷりの短編集。冒頭の「マイロとおれ」は犯罪現場に赤ん坊を連れていき、ピュアな視点を捜査に生かす(天真爛漫)計画を導入した警察の話。
買い物リストだけが羅列された「買いもの」からは、背筋の寒くなる行為が鮮やかに浮かび上がる。奇妙な味わいの作品が好きな方にはぜひお薦めしたい。 |
No.68 | 7点 | キングを探せ- 法月綸太郎 | 2019/10/12 13:23 |
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著者と同姓同名の探偵が登場する法月倫太郎シリーズの長編。
交換殺人をもくろむ四人がトランプのカードを引き、誰が誰のターゲットを殺すのかを決めるシーンから始まる。犯人は初めから分かっている。だがこの後、とてつもなく難解なパズルのような仕掛けが用意されている。トリックが明かされても、謎解きの切れ味があまりにも鋭いため、すぐには理解できなかった。何度もページを遡り、巧みに張り巡らされた伏線を確認してしまった。 結局、最後まで翻弄されっぱなし。しかし、ミステリでは、この完璧な敗北感も至上の喜びとなる。 |
No.67 | 5点 | 生、なお恐るべし- アーバン・ウェイト | 2019/10/05 08:26 |
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妻とともに馬を飼育しながら暮らしている54歳のハントは、裏の商売の麻薬受け渡しを保安官補に目撃され、逃亡する羽目になった。おまけに麻薬組織からは殺し屋が送り込まれる。その逃走劇がスピード感たっぷりに描かれていくが、それを個性的かつ感動的にしているのは「人は自分のしたことを自分なりのやり方で償う」というテーマ。登場人物たちそれぞれの背負うものが心にしみた。 |
No.66 | 5点 | スーツケースの中の少年- レナ・コバブール&アニタ・フリークス | 2019/09/28 10:23 |
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衝撃的な冒険から始まる。親友に託されたコインロッカーの鍵。中にあったスーツケースには、裸の男児が入っていた。発見者の看護師ニーナは、この子を守り抜くと決意する。
異常な状況の中、手掛かりを探りつつ、不気味な追っ手から命がけで逃げるニーナ。そのタフさと冷静沈着さ、強固な意志が実に魅力的。疾走感あふれる展開も巧み。 この作品は、二人による共著なのですが、作家の登録はこれで良かったでしょうか?間違っていたら直してください。 |
No.65 | 5点 | 緋い空の下で- マーク・サリヴァン | 2019/09/21 08:51 |
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第二次大戦下の史実に基づいた小説。
1943年、ミラノ。17歳のピノが年上の女性をデートに誘ったその夜、街は連合軍の爆撃を受けた。その日から、彼の日常は大きく変わっていく。神父たちと協力してユダヤ人たちの脱出を手助けするピノは、さらに重い密命を負う。 イタリア人同士が敵味方に分かれる戦争の中で、主人公の冒険と恋、そして成長と喪失が語られる。 |
No.64 | 5点 | 裁きの曠野- C・J・ボックス | 2019/09/14 09:14 |
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女牧場主が失踪し、猟区管理官ジョーは莫大な遺産をめぐる骨肉の争いに巻き込まれる。さらに、彼に深い恨みを抱く男が登場し、命を狙われる羽目に。
上司や町の人々、夫婦、親子などの人間関係がきめ細かく描かれ、読み応えある作品になっている。 |
No.63 | 5点 | 追憶の杜- 門田充宏 | 2019/09/08 14:22 |
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移ろいやすく捉えがたい人間の心の内奥が舞台。
他者への共感力が特異的に高い主人公が、他人の記憶に潜行し、本人にも捉えがたかった内面の問題をつかみ取る「感覚情報翻訳者」シリーズの2作目。三つの中編それぞれミステリアスで重いテーマが、軽妙な語り口で、丹念に描かれている。 |
No.62 | 5点 | 偽りの春 神倉駅前交番狩野雷太の推理- 降田天 | 2019/09/03 20:08 |
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帯に「だまされる快感を味わった」(大沢在昌)とあり、買ってみた。
高齢者詐欺グループリーダーの光代が脅迫される「偽りの春」、美大生たちの悪意が交錯する「見知らぬ親友」、声優殺しの謎に迫る「サロメの遺言」など5編を収録しているが、どれもひねりの切れがいい。 そのなかでは青春小説のきらめきを持つ「見知らぬ親友」とその続編の「サロメの遺言」が気に入った。「落としの狩野」といわれたヒーローの挫折の話をゆっくりと後景から前景に押し出して、犯人の動機をより深く切実なものにしている。 「偽りの春」は、日本推理作家協会賞「短編部門」を受賞している。 |
No.61 | 5点 | 襲名犯- 竹吉優輔 | 2019/08/31 20:21 |
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茨城県栄馬市で、7人が次々と殺害された。ブージャムと呼ばれた犯人は逮捕されたのち、美しいその風貌により多くの熱狂的信奉者を生んだ。そして14年後に男の死刑が執行されてから、ブージャムを名乗る犯人による同様の殺人が起こった。
物語は、市立図書館に勤務する南條仁を中心に展開する。仁は、かつての事件における最後の被害者・南條信の双子の弟だった。仁は図書館利用者からの依頼に応えて資料集めや情報調査をするレファレンスサービスの仕事をしているせいで、あらためて事件に深く関わることとなった。 衝撃的な猟奇殺人の真相と新たな犯人捜しの妙もさることながら、主人公の日常、交友関係、過去と現在などが細やかに描かれており、その展開を追うだけでスリリングな面白さが味わえる。 |
No.60 | 6点 | シンドロームE- フランク・ティリエ | 2019/08/25 09:27 |
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短編映画を観た映画コレクターが失明。衝撃的な幕開けで、一気に物語に引きずり込んでいく。
コレクターの知り合いだった女性警部補のリューシーは映画を専門家に分析してもらう。かたや統合失調症を患うシャルコ警視は、目玉がくりぬかれた5人の変死体を調べていた。やがて二つの事件のつながりが判明するが、サスペンスがラストまで途切れず、ひかれあう2人の微妙な心情も巧みに描き込まれている。ラストの不穏な一行に次作への期待が膨らんだ。 |
No.59 | 5点 | 湿地- アーナルデュル・インドリダソン | 2019/08/17 10:22 |
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一人暮らしの老人が撲殺された。当初は強盗の犯行にも思われたが、現場に残されたあるメッセージから、捜査官エーレンデュルは老人の過去を洗いはじめる。そして明らかにされた事実は、何人もの人生を左右する重く残酷なものだった。
40年近く前の過去を掘り起こすうち、離婚や娘の麻薬中毒に痛みを抱える自分の人生をそこに重ね、苦しむエーレンデュルの姿が心を揺すぶる血のつながりや親子という主題が胸にしみた。 |
No.58 | 5点 | 崩壊家族- リンウッド・バークレイ | 2019/08/13 10:31 |
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ある家族を襲う危機がサスペンスたっぷりに描かれる。
17歳のデリクは恋人と2人きりで過ごすため、一週間留守にする隣家に忍び込んだ。しかしその夜、不意に帰宅した隣人一家が、彼の目の前で何者かに撃ち殺されてしまう。 登場人物の秘密が明らかにされていく過程は、ぐいぐい読ませる。デリクに疑いがかけられ、崩壊しかけた一家の姿に、家族の意味もあらためて考えさせられた。 |
No.57 | 6点 | 獅子の血戦- ネルソン・デミル | 2019/08/10 11:14 |
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リビア人テロリストのハリールと米国のテロ対策捜査官コーリーとの命がけの戦いが描かれる。冒頭のパラシュート降下から終盤の死闘まで、まさに手に汗握る場面の連続。コーリーのへらず口も楽しく、一気読みの保証付き。 |