皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
糸色女少さん |
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平均点: 6.42点 | 書評数: 159件 |
No.2 | 6点 | 夢魔の標的- 星新一 | 2023/10/27 23:14 |
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漣や奇妙な夢に悩まされる腹話術師の主人公が、街角の占い師を訪ねるくだりから始まる。いくつもの遅延を合間に挟みながらも、次第に全容をあらわしてゆく夢の侵略に、彼は包囲され翻弄される。
ひとりでに話し始めた腹話術人形と主人公によって交わされる問答や、テープ・レコーダーによる寝言の録音などの道具立てを巧みに用いることによって、作者は非現実的なガジェットを登場させることなしに違和感を演出し、「世界の外側からの侵略」というテーマを魅力的に描き出すことに成功している。敵の企みをいかに阻むかに焦点があてられる後半にかけては、彼らの盲点を探る謎解きの要素も加わり退屈させない。 |
No.1 | 6点 | 悪魔のいる天国- 星新一 | 2023/09/13 22:14 |
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ショートショート集だが、タイトルと同名の作品はない。天国のごとき状況にも、ある瞬間に悪夢が入り込むことがある。それは時に異星人であり、時に狂人であり、よく知った身近な人であり、政府の残酷な政策であり、仕込まれた作戦であり、ふとしたアクシデントである。
シニカルな展開には、しばしばニヤリとさせられる。しかし、作品に含まれる毒は、決して世の人を害することなく、むしろ読む者に自省をうながすはずだ。 大人のための小洒落た寓話集でありながら、SF入門書として小中学生にも勧められる。そんな星新一の稀有な作風と改めて向き合うことが出来る一冊である。 |