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糸色女少さん
平均点: 6.41点 書評数: 174件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.3 6点 目を擦る女- 小林泰三 2023/12/07 23:14
意味も分からない計算に従事させられる「算盤人」の主人公は、やがてそれがひとつの仮想現実であることを知る。算盤をハードウェアとする仮想世界という、人力計算機SFの中でもとのかくスケールが大きい奇想に、計算する行為の意味にまで踏み込んだ展開がポイントだ。
その他、ホラーあり、ハードSFあり、テレビゲームのトリビュートありと、SF媒体を象徴するがごとき多様な作品集であるが、書き下ろし「未公開実験」で登場人物がメタな突っ込みを入れるように、仮想世界を扱った作品が多いことも特徴。宇宙を論理遊戯の題材にするSF性と、現実が揺らぎ崩壊する恐怖が融合している。

No.2 7点 海を見る人- 小林泰三 2023/04/14 22:22
場所によって時間の進行の異なる世界での悲しい恋の物語を描き、SFマガジン読者賞を受賞した表題作を中心とする短編集。
いずれも、物語は表面上のストーリーと舞台となる世界の構造が見えてくる過程との二重構造になっていて、一見奇妙に見える世界の裏にも物理的に確かな論理が隠されている。物語の過程で主人公は大切な何かを失い、それと引き換えに世界の像を手に入れる。世界を知った歓びと喪失感とがないまぜになった読後感はほろ苦い。

No.1 5点 失われた過去と未来の犯罪- 小林泰三 2018/03/21 11:29
記憶や思い出と「現実」のズレをめぐる物語。
ある日、書いた覚えのない自分の書き込みに驚いた女子高生は、記憶が短い時間しか保てなくなっていることに気付く。彼女だけではない、全ての人間が記憶障害に陥っていた。
やがて人類は、長期記憶の喪失を、身体に埋め込む外部メモリーで補うようになる。しかし「わたし」のなかには、何人分もの記憶や思い出が詰まっていた・・・。
情報記憶と感情の関係から、自意識や意思の生成までを視野に入れた物語。

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糸色女少さん
ひとこと
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採点傾向
平均点: 6.41点   採点数: 174件
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