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猫サーカスさん
平均点: 6.19点 書評数: 405件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.3 6点 父のひと粒、太陽のギフト- 大門剛明 2019/05/03 18:44
日本の食の根幹、農業をテーマに据えた長編作。小山大地、無職の30歳。親から仕送りを止められ、仕方なく新潟市内の会社でインターンとして働くことに決めた。ところが、ようやく厳しい労働に慣れ始めたときに、そこの会社の社長の死体が発見される。物語は、若き天才農業家の死をめぐる事件を軸に、農村が抱える深刻な問題に迫っている。それでも飄々とした語り口は読みやすく、さらに作者ならではの意表を突く逆転劇が仕組まれている。ミステリーとしての面白さにぬかりない秀作。

No.2 6点 氷の秒針- 大門剛明 2018/04/05 19:15
2010年4月27日、殺人事件など凶悪犯罪の公訴時効を廃止、延長する法律が成立し、即日施工された。この作品は、この時効廃止にまつわる事件を扱っている。時計修理技能士として働く原村俊介は、15年前の5月に起きた殺人事件で妻を失っていた。いまだ事件は解決していないが、時効寸前の2010年4月に法が成立、この先も犯人を追えることとなった。その一方、近くの松本市で起きた「社長一家惨殺事件」の犯人が、同年2月の時効を過ぎてから自首したものの、後日何者かに殺される。警察は、社長一家でただ一人生き残った長女の薫に疑いの目を向けた。時効廃止の法成立をめぐり、わずか3カ月の違いで明暗をわけることになった二つの事件。それぞれの遺族である俊介と薫の人生が交錯していく。時効をテーマにした単なる犯罪ものに終わっていない。時計とその修理にまつわる幾つものエピソードを効果的に扱っており、家族をめぐるドラマとしても見事に描けている。

No.1 6点 確信犯- 大門剛明 2018/03/19 19:19
司法界の格差問題をテーマに、ミステリアスな事件を見事に描きあげている。広島で起きた、ある殺人事件に対し、無罪判決が下された。ところが14年後にその元被告が「犯人は自分だ」と告白し、その直後、事件を担当していた裁判長が殺されてしまった。はたして被害者の息子による「確信犯」的凶行なのか。裁判に関わった二人の判事や容疑者の恋人など、多視点で展開していく本作は、単なる犯人捜しで終わらず、人間ドラマの妙でぐいぐいと読ませていく。それぞれの複雑な思いが交錯したまま、新たな事件が巻き起こっていくからだ。そのほか、法廷内だけではなく、広島の野球スタジアムが舞台だったり、司法改革の問題に切り込んでいたりするなど、物語に広がりや深みが感じられる。最後に待ち受けているのは驚愕の真実で、巧みな仕掛けに驚かされた。

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猫サーカスさん
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採点傾向
平均点: 6.19点   採点数: 405件
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