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小原庄助さん
平均点: 6.64点 書評数: 260件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 7点 天離り果つる国- 宮本昌孝 2021/01/20 09:26
地震による山崩れで、一夜にして消滅したという、飛騨白川郷の帰雲城を舞台にした、壮大なロマンである。
帰雲城主の内ケ嶋氏理が治める白川郷は、金山銀山を持ち、鉄炮に必要な塩硝を製造している。そんな白川郷に、竹中半兵衛を師とし、織田信長に仕える津田七龍太がやってきた。
領民が平和に暮らす国と、氏理の娘で最強の姫武者である紗雪をはじめとする、多くの人々に魅了された七龍太。信長の意に反してまでも、白川郷を守ろうとする。織田から豊臣へと流れゆく時代の中で七龍太は、頼もしい仲間たちと共に戦い続ける。しかし彼には、大きな出生の秘密があった。
史実を踏まえながら、どれだけ虚構の翼をを羽ばたかせることが出来るのか。その好例が本書と言ってもいい。恋・謎・戦いなど、エンターテインメントの要素を幾つもぶち込んだ物語は、とにかく痛快。しかも佐々成政が冬の立山連峰を踏破した"さらさら越え"や、帰雲城の消滅といった史実や伝説が、巧みにストーリーに織り込まれている。その中から浮かび上がる、理想の国の姿は、あまりにも美しい。

No.1 6点 武者始め- 宮本昌孝 2018/03/04 09:45
北条早雲から真田幸村まで、7人の戦国武将の武者始め(初陣)がつづられている。ただし初陣の形は、実にさまざま。バラエティー豊かな内容が楽しめるのだ。
愚鈍を装い周囲を観察し、ついには父親を領地から追放した、若き日の武田太郎(信玄)を描いた「さかしら太郎」や、徳川家康が薬好きだったという史実を巧みに織り込んだ、「薬研次郎三郎」など、どれも読み応えあり。その中でもベストといえるのが、織田信長を主人公にした「母恋い吉法師」だろう。信長の赤子のころの有名なエピソードを膨らませながら、彼の武者始めに至る過程に潜んでいた、もうひとつの武者始めを活写しているのである。
切れ味の鋭い短編を、存分に堪能できる一冊。

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小原庄助さん
ひとこと
朝寝 朝酒 朝湯が大好きで~で有名?な架空の人物「小原庄助」です。よろしくお願いいたします。
好きな作家
採点傾向
平均点: 6.64点   採点数: 260件
採点の多い作家(TOP10)
評論・エッセイ(11)
伝記・評伝(6)
アンソロジー(国内編集者)(6)
京極夏彦(4)
ドン・ウィンズロウ(3)
フェルディナント・フォン・シーラッハ(3)
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