皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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小原庄助さん |
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平均点: 6.64点 | 書評数: 267件 |
No.2 | 7点 | 機巧のイヴ- 乾緑郎 | 2019/04/06 09:32 |
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人間と見まがう機巧人形・伊武と、当代随一の機巧師・釘宮久蔵を通して、江戸時代に似ているが根本から何かが違うもうひとつの世界で起こるさまざまな愛憎劇、事件を描く連作短編集だ。
幕府の膝元・天府には13層の大遊郭がそびえ、多彩な遊芸や技巧技術が爛熟していた。なじみの遊女を模した機巧人形に理想の女を求める男を描いた第1話の表題作や、腕を失った刺青力士のために人口の腕を作ろうとする「箱の中のヘラクレス」など、前半には時代小説の市井物の雰囲気が漂う。 それが後半に進むに従い、”世界”の謎の姿を現す。「神代のテセウス」では、久蔵に関する調査を命じられた思い込みの激しい隠密が、陰謀に巻き込まれていく。やがて女系で継承されてきた天帝家の秘密や幕府の思惑も見えてくる。 心を持った「機械」は人間と違いがあるかというデカルト的命題を踏まえたSF的思考をベースに、ミステリや時代小説の楽しみまで満載した贅沢なエンターテインメントだ。 |
No.1 | 6点 | 僕たちのアラル- 乾緑郎 | 2018/02/04 10:15 |
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壮大な実験を巡る、異なる理想の対立を描いている。
火星移住計画の準備として、15万人規模の都市を、30年にわたり外部から完全に隔離し、自給自足で社会を運営するという実験が行われていた。そこで生まれた「第2世代」の男子高校生が、父親を誘拐され、大きな陰謀に巻き込まれる。 犯行声明を出したのは、過激な活動で知られる環境保護団体。対する当局も、重要な情報を隠蔽しているようで信用できない・・・。 キャラクターの立った転入生の少女に振り回され、軽快なテンポで二転三転する物語は、若者たちにはライトノベルとして、年長者には懐かしい青春SFとして楽しく読めるだろう。 |