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人並由真さん
平均点: 6.33点 書評数: 2031件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.7 6点 消えた看護婦- E・S・ガードナー 2023/08/15 19:57
(ネタバレなし)
 メイスンの今回の依頼人は、世界的に有名な外科医サマーフィールド・モールデン医学博士、その若くて美しい三人目の妻ステファニイだった。実は彼女の主人で52歳のサマーフィールドは、この一両日の間に飛行機事故で死亡と報道され、27歳の奥方は未亡人になったばかりである。ステファニイの依頼内容は、優秀な医者ながら金勘定にはズボラな夫に多大な収入の申告漏れがあり、徴税の役人が動いているので、対策を願いたいというものだ。経理の実体を知るのは、ステファニイと同じ年の美人で、サマーフィールドの片腕と言える看護婦兼事務職のグラディス・フォスだが、彼女は行方不明だ? ステファニイは、グラディスが実は夫の愛人だと確信しているらしく、秘密の密会用の? アパートに多額の現金が隠されているという。早速、当該のアパートに向かったメイスンだが、壁の中の隠し金庫は空っぽだった。ステファニイは、メイスンが独自の判断で彼女の税金対策のために10万ドルの現金を一時的に隠してくれたのだと解釈~主張し、落ち着いたらその金を返してほしいとうそぶく。メイスンは悪女にハメられたのだと気づくが、やがて事態は思いもよらぬ殺人事件へと発展していく。

 1954年のアメリカ作品。メイスンシリーズの長編作品・第43弾。
 
 メイスンに横領の咎を着せ、金をせしめようとするガメつい、そして妙な胆力のあるメインゲストヒロインのステファニイが印象的。
 今回の殺人事件はなかなか表面に出てこないものの、それでも、思わずハメられた窮地のなかで、あの手この手で冷静に対処するメイスンの駆け引きぶりが、十分にエンターテインメントとして面白い。

 中盤~後半から、事件というか物語の方向が別の向きに転調する感じで、たしかにややこしいといえばややこしい。
 ちゃんと人物メモを作りながら読み進めたから何とかついていけた(?)が、話の焦点が変わってしまう一方、ポケミス巻頭の人物一覧表にも載っていないキャラクターがソクゾクと登場。ああ、やっぱり、これはちょっとシンドいね(笑)。

 ただし犯罪というか事件の概要はなかなか面白く(ここではあまり書けないが)、終盤までテンションを下げずに楽しめるのは確か。
 ラストがちょっと放り投げた感じでまとめられ、クロージングにはもう少し気を使ってほしかった気もする。
 
 あと、個人的な感慨だけど、本当に久々にハミルトン・バーガーに再会したかも?
 この数年、手にとったメイスンものの中では、たしかあんまり出てこなかったような気もするので。

 最後に余談ながら、本書の邦訳は昭和32年(1957年)で、ポケミス21頁ほかに、写真の複写という意味で「コッピイ」という表記が出て来る。
 個人的には大昔に『パーマン』(1967年)のコピーロボットで「コピー」という言葉を覚えた世代なので、それより十年も早く日本語になっていたのも軽く驚いた。この辺は、外来語のカタカナ表記に詳しい人に聞けば、なんか面白い話を教えてもらえるかもしれん?

No.6 6点 溺れるアヒル- E・S・ガードナー 2020/12/12 04:26
(ネタバレなし)
 世界大戦の緊張が高まる40年代の前半。秘書デラとともにカリフォルニアに来ていた弁護士メイスンは、土地の大農場主ジョン・L・ウイザースプーンから相談を受ける。実は、農場主の一人娘で21歳のロイスには、近々出征が決まっている同じ年齢のマーヴィン・アダムズという恋人がいるが、そのマーヴィンの母で未亡人のサラーが先日死亡。サラーは死の間際に、実はお前マーヴィンは本当の子ではない、私と亡き夫ホレイスが赤ん坊の時に誘拐してきた子だと言い残したという。娘の婿候補のマーヴィンにかねてより好感を抱いていたウィザースプーンは、この話に驚愕。私立探偵に過去の詳細を洗わせると、さらにもっと驚く事実が判明した。実はマーヴィンの父ホレイスは18年前に殺人の罪で死刑になっており、母サラーは実父が重犯罪者という事実を息子から隠蔽するため、誘拐云々の話をでっち上げたらしい。マーヴィンへの好感はさておき、殺人者の息子を娘の婿にしたくないという本音を告げたウィザースプーンは、メイスンに18年前の事件の再調査を願う。だが、現在のカリフォルニアでまたも新たな殺人事件が?

 1942年のアメリカ作品。メイスンシリーズの長編、第20弾。

 ……いや、真剣に悩んだすえにその行為に走ったのであろう作中の当事者には本当に申し訳ないが(汗)、触れてほしくない過去(夫=息子の父が殺人罪で処刑された)を秘匿するため、さらにまた突拍子もないややこしいウソ(お前は実は私たちとは他人の、誘拐事件の被害者だよ)をついて世を去ったおっかさんのサラー。このトンデモな序盤の設定には、爆笑してしまった。世の中には本当にいろんな人がいるもんですねえ、という感じ(笑)。
 
 薬品研究をする秀才マーヴィンの探求から、アヒルが溺れるという奇妙な事象が発生。その事実が事件にとりこまれていくが、これってミステリとしての構造にはそんなに深い意味はなかったような(一応の説明は用意されているが)。
 過去と現在の事件の反復のなかで、ちょっとわがままなウィザースプーンや、これからの人生があるマーヴィンとロイス、それぞれの社会的な立場まで考えながら事件をこなそうとするメイスンの言動はかなり頼もしい。
 さらに今回は初めてメイスンが弁護士としてではなく、当初、あくまで傍聴人のひとりとして法廷に入り、新鮮かついらだたしい体験だとする愉快な場面もある。大戦の空気が高まる時勢にあって、リベラルな物言いを放つメイスンのキャラクターもなかなかステキ。

 ミステリとしてはおおむねソツがないとは思うものの、真相が割れても(中略)がもともとあまり書き込まれていなかったため、驚きも謎解き作品としてのトキメキも希薄なのが残念。
 容疑者の範疇に入ってくるキャラクターたちの書き込みがうすいな~と、ときどき思わせるのが、ガードナー作品にしばし見られる弱点だと思う。比べても仕方がないんだけれど、クリスティーはその辺がやはりずっとうまかった。

 物語の掴みは最高、話は好テンポ、ミステリとしての組み立てもなかなか……なんだけれど、それなりの重要度のハズの一部のゲストキャラたちのつまらなさで失点。評点はこんなところで。

No.5 7点 危険な未亡人- E・S・ガードナー 2020/09/09 14:18
(ネタバレなし)
『吠える犬』事件の公判でメイスンの戦果を認めた、富裕で若々しい68歳の未亡人マチルダ・ベンスン。そんなマチルダはメイスンの事務所を訪れ、賭博船「豊角(ホーン・オブ・ブレンディ)」にてギャンブルでの負債を抱えた孫娘シルヴィア・オックスマンに関するトラブルを訴える。富豪のマチルダがシルヴィアの負債を払うこと自体は可能だが、シルヴィアの夫でブローカーのフランクがさる利権上の理由から離婚を画策。それで離婚時に自分を有利にするべく、妻がだらしないギャンブル依存症という証拠となる、胴元からの借用書を入手したがっている。だからメイスンにそれを阻止してほしいと願うのだ。かくして相棒の私立探偵ドレイクを連れ、賭博船に乗り込むメイスンだが、船上では予期せぬ殺人事件が。

 1937年のアメリカ作品。メイスンものの第10作目(長編限定?)ということで、割とシリーズ初期の作品だと思うが、洋上の大型ギャンブル船という閉鎖された舞台に二回に渡って乗り込んでいくメイスンの実働が、40~50年代私立探偵小説っぽくてステキ。
 特に第二回目の乗船では相棒のドレイクとも別働し、そこで心身ともに機転の利いた動きを見せる(公的で客観的な記録をわざと残させるため、半裸になって自ら身体検査を受けるあたりの見た目のみっともなさも、逆説的にカッコイイ)。メイスンものでこういう趣の楽しさを感じるのは本当に久々、いや初めてかもしれない。
 
 メインゲストキャラのマチルダばあちゃんは、メイスンの事務所を訪問早々「私は別に殺人を犯したわけではない」と軽口ジョーク。いや、作中のリアルでメイスンが何度も殺人事件に関わり合い、それが世の中にも広く報道されていることを前提にしたジョークだろうが、素で読むと<弁護士の事務所に入室して、いきなり自分は殺人犯ではない、と主張するおかしなばあさん>である。しかもポケミスの裏表紙あらすじでは、そんな冒頭の一幕をいかにもいわくありげに書いてあるものだから、なんかオカシイ。大昔からポケミスのこの記述は、妙に心に引っかかっていた。
 殺人の謎ときがやや複雑でせせこましいという難点はあるが、一方でサブストーリーとして語られる、ドレイクが使う外注のフリーの探偵稼業の面々の挿話なんかも興味深い。今のハムラアキラみたいな苦労話って、昔からあったんだよ。
 これまで読んだメイスンシリーズの中でも、割と面白い方でしょう。

No.4 5点 弱った蚊- E・S・ガードナー 2020/08/01 12:30
(ネタバレなし)
 その年の春先。ペリイ・メイスンの事務所は、中年の鉱山師ソルティ・パワースの訪問を受ける。本当の用向きがあるのはパワースの相棒の鉱山師バニング・クラークだが、彼は心臓がよくないので代理で来たとのことだった。秘書のデラ・ストリートとともに、クラーク当人の屋敷に向かうメイスンだが、砂漠での生活を愛するクラークとパワースは庭でキャンプ生活を営み、屋敷にはクラークの亡き妻エルヴィンの兄ジェームズ・ブラディスンや、その兄妹の実母(つまりクラークの義母)リリアンたち雑多な人間が居住。しかもその面々のなかの一部は、クラークの鉱山の所有権にも密接な関係があった。同家に宿泊して事態に関わるメイスンとデラだが、やがて予期しない殺人事件が……。

 1943年(第二次大戦中、真っ盛り)のアメリカ作品。
 評者が本当に久々に読んだメイスンシリーズだが、この作品は大昔の少年時代に少しだけ中身を齧りかけて、そのときは物語の主題の鉱山業のことがよくわからず、放り出した記憶がある。
 長年の宿題を片付けるつもりで改めて読んでみると、先行の方のレビューにあるように、いかにもガードナーらしい砂漠&探鉱生活への憧憬がそこかしこの叙述に見受けられ、その辺は正に本作の味であった。昔はこういうところが、まだコドモで分からなかったのだな。

 メイスンとデラがとんでもないピンチに遭遇したり(詳しくは書かないが、このシリーズで<こういう趣向>があったのか! とギョッとなった)、妙にイカれた登場人物(自称二重人格者で、自分に不利益な責任はぜんぶ、その第二人格の方に押し付けようとする)が登場したりと中盤まではなかなか面白い。
 が、ストーリーが錯綜する割に、前述の特化されたキャラクター以外の登場人物の書き分けが平板で、正直、ミステリとしての狙いどころをしっかりと楽しむにはかなりキツイ。
 いや、珍妙なトリックとか、斜め方向の事件の真相と犯人の意外性とか、それなりに凝ったことをしようとしていることは理解できるのだが(とある被害者が被った、かなり特殊な状況の殺人についての法律的見解なんかも、興味深いといえば興味深い)。

 なお、終盤、メイスンとデラが互いの関係性を確かめ合うくだりは、ちょっと感じるものがある。評者みたいな本シリーズをつまみ食いする読者じゃなければ、もっとさらに思うところも多いだろうね。

No.3 6点 これは殺人だ- E・S・ガードナー 2020/05/06 12:40
(ネタバレなし)
 評者の場合、昔からペリイ・メイスンものは山のように買い込んでそれなりに読み、『掏替えられた顔』なんかかなり面白いと思いながら、この数年間に読んだガードナーといえばなぜか非メイスンものばかりである(笑)。まだまだ未読のメイスンシリーズなんかいくらでもあるのに(汗)。
 
 そういう訳でどういう訳か今回もまたノンシリーズ作品だけど、なかなか面白かった。あともうちょっとで、7点あげてもいいくらい。

 物語の序盤、公職の地方検事フィル・ダンカンがポーカー友達の主人公サミュエル(サム)・モレインを公式な犯罪捜査(になる流れの場)につれだすのはいささか乱暴。
 とはいえ、のちのちに書かれるあまりにも一本気すぎる正義漢ダンカンのキャラクターとあわせて、オトナのガキ大将譚な趣が発露。ある程度はアクチュアリティをふみこえた破天荒さがオッケーという雰囲気で、それが読み物としての快感につながる作風になっている。この辺はガードナーが別名義で、いささか破格のものをこっそり書いてみた印象である。

 ヒロインでモレインの秘書のナタリー・ライスは、デラ・ストリートではたぶん許されない? ワケアリのキャラ設定が与えられ、とりあえず単発として書かれた? 作品ならではの自在な立ち位置が新鮮であった。モレインと相思相愛なんだろうけれど、最後までまったく(中略)。そういう意味では、この二人のその後を描くシリーズの続きも読みたかった。まあ続刊以降は二組めのメイスン&デラが別途に書かれるだけになったかもしれないが(ナタリーの父で、準キーパーソンともいえるアルトンのキャラを生かせば、面白い恋人関係ができたかもしれないね)。

 トリックは意外に「すげー」と驚くようなものが用意されていて軽くウケた(笑)。しかしこれって、そこに行くまでの、かなり奇抜で鋭い推理を関係者が組み立ててくれることが前提のトリックであって、リアリティからいえばまずありえない。まあフィクションとしてのミステリの範疇内で許されるんだけど。

 全体的にハイテンポでとても楽しめた。ガードナーのなかでは期待以上に相性の良かった作品。

No.2 6点 地獄の扉を打ち破れ- E・S・ガードナー 2019/06/27 19:38
(ネタバレなし)
 メイスンがデビューする『ビロードの爪』(1933年)の前年、1932年に「ブラック・マスク」に掲載されたガードナーの当時のシリーズキャラクターものの5編を集めた中短編集。ミステリデータサイト「aga-search」の情報によると、日本独自に編纂・集成した一冊らしい。

 収録作は
①「あらごと」(幻の怪盗エド・ジェンキンスもの)
②「ブラック・アンド・ホワイト」(同)
③「二本の足で立て」(秘密機関員ボブ・ラーキンもの)
④「浄い金」(青年弁護士ケン・コーニング&秘書ヘレン・ヴェイルもの)
⑤「地獄の扉を打ち破れ」(同)

①と②は完全な正編&続編の姉妹編。ガードナーのストーリーテラーぶりが短い紙幅の中でも十全に発揮された作品で、特に②の方は通例の義賊ものというかプロフェッショナルによる悪党を罠にはめる作戦ものならモブキャラに終りそうなある種の登場人物を物語の表に出し、ひねった筋立てに仕上げた秀作。前身である犯罪者からの精神的な脱却を望みながら、悪党相手には縦横無尽の機動力を出し惜しみしないジェンキンスのキャラクターもいい。
③は①②同様、一人称の「わたし」で物語が開幕するが、先の説明通り、主人公は別のキャラクターに交代。物語の場も変っているのだが、読む際にその辺の頭の切り替えがしにくくて面白がるペースを掴み損ねた(涙)。④⑤のコーニングものが三人称なので、収録の順番はこの③を一番最後にしてほしかった。最後のオチを読むと、これがこのラーキンものの第一弾だったのかな?
④⑤の主人公コンビは本書の裏表紙などでは、メイスン&デラの前身キャラクターという触れ込みで紹介されているが、評者がここしばらくメイスンものを読んでいないこともあるせいか、とても新鮮な感じで面白かった。特にヘレンのおきゃん(死語か?)なヒロインぶりは、評者がアメリカンミステリの秘書キャラクターに求める魅力が炸裂で、すごく楽しい(笑)。このコンビの未訳の事件簿がもしまだ残っていたら、どんどん訳してほしい。それで⑤の方の、夫のために自分を有罪にしてほしいと願い出てくる依頼人から始まる筋運びは、たしかにメイスンものの先駆っぽいぞ。なおフーダニットのミステリとしてはそれなりに意外な設定の犯人だと思うが、犯行の流れにひとつふたつ疑問が残らないでもないが。あと⑤の事件の内容そのものは、邦題ほど強烈で大袈裟なものではないと思うけど(笑)。 

 なお本書は表紙周りや奥付を見る限り、全部が井上一夫の翻訳のようだが、④のみ実際には平出禾の訳文(本文の最後に小さくそう表記してある)。
 
 んー、ガードナーのシリーズキャラクターものの短編集、今からでも何冊かまとめて発掘刊行されてもいいんじゃないかな。翻訳権ももしかしたらもうフリーになってるかもしれないし。
(もともとの掲載誌が同じだかバラバラだかのどっちかで、翻訳権上の制約がかかるんだっけ。)

No.1 6点 奥の手の殺人- E・S・ガードナー 2016/05/20 17:30
(ネタバレなし)ガードナーが1937年に書いた長編で、全2冊のみに登場する冒険家青年テリイ・クレインのデビュー作です。
 最近ペリイ・メイスンの旧作TVシリーズがDVDボックス化される動きがあり、これに触発されて、久々にガードナーを読んでみようかなと思い、蔵書の中から手に取った一冊でした(素直にメイスンものに手を出さないのはナンですが~笑~)。

 7年ぶりに中国での冒険行から帰国したクレインが、古巣のサンフランシスコで殺人事件に遭遇。知己の人々や馴染みの中国人社会と関わりながら、殺人容疑をかけられたガールフレンドの窮地を救う、というのが大筋。
 殺人の特色は、中国人が用いる特殊な武器「竹鉄砲」(腕に装着する竹筒の中から、強力なバネ仕掛けで矢を撃ち出す)が凶器に使われたこと。ポケミスの裏表紙でもこの点を特に強調しており、凶器の謎そのものがポイントの作品かという印象もありますが、実際にはそれほど重きが置かれません(重要な小道具にはなりますが)。
 むしろ、クレインのガールフレンドである女流画家のレントン姉妹が描いた肖像画にからむアリバイの見せ方や、段々と判明してくる被害者周辺の悪人像などの方がミステリとして面白い。クレインとライバル的な関係になるベテラン刑事・マロイ警部の粘り強さも物語のテンションを随所で高め、全体のストーリーをテンポよく語っていくあたりはさすがガードナー、職人作家という感じです。
 犯人当ての謎解きミステリとしてはそれなり以上の面白さですが、本書の狙いはガードナー自身が序文で書いているとおり、中国人とその文化の深遠さと好ましさを語ることにもあり、その点は確かに印象的です(クレインのもうひとりのガールフレレンドである中国人娘スー・ハーの終盤の行動など)。
 D・B・ヒューズのガードナー伝を改めて読めば、当時のガードナーの中国への思いの丈なども理解が進むかもしれません。

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ひとこと
以前は別のミステリ書評サイト「ミステリタウン」さんに参加させていただいておりました。(旧ペンネームは古畑弘三です。)改めまして本サイトでは、どうぞよろしくお願いいたします。基本的にはリアルタイムで読んだ...
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