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ロマンさん
平均点: 8.08点 書評数: 177件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.6 7点 爬虫類館の殺人- カーター・ディクスン 2015/10/25 11:56
タイトルや戦時下のロンドンという舞台設定からは、なにやら暗くて粘った雰囲気のものを想像してしまうが、これがじつに楽しくて愉しい作品となっている。気密性の高い密室に奇術師男女のコミカルなロマンス、さらには冒頭と終盤におけるH・Mの大活躍(?)と、たいへん盛りだくさん。また、犯人の醜悪さというか往生際の悪さも印象深く、トリックのしょんぼり感を補ってあまりあるほど、思いのほか面白く読むことができた。

No.5 8点 貴婦人として死す- カーター・ディクスン 2015/10/21 11:54
老医師の手記という形で語られる本書。断崖絶壁に消えた二人の足跡トリックには最後まで悩まされる。戦争が影を落としていく中、HM卿の登場には大笑いさせられ、垣間見える人情にじんとくる。怪奇趣味や密室はないが、皮肉な人間ドラマといい相変わらず最後まで読む手を引っ張っていってくれる。形式的にある作品を連想したが杞憂だった。『貴婦人として死す』という題名については色々考えさせる。

No.4 9点 白い僧院の殺人- カーター・ディクスン 2015/10/20 15:53
雪の降りやんだ別館で、女優の遺体がみつかる。そこは発見者の足跡のみがついた、まさに雪密室。〔足跡なき犯行〕型の、カー氏お得意の密室事件。H・M卿の推理を紐解く一言で、あっという間に心を持って行かれる。分かってみると、普通に起こり得る犯罪に、トリックも込み入っているわけではないが、犯行に向かう人間心理の論理のわかりやすさや、犯人にしか有り得ない言動、考え方をさらりと折り込んでいるのは流石としか言えない。読者と正面から、向き合っているミステリーだと思う。

No.3 9点 プレーグ・コートの殺人- カーター・ディクスン 2015/10/20 12:18
黒死荘で降霊会が開かれようという矢先、庭の石室で術者が惨殺された。凶器と目されたのは遺体の傍にあった短剣。そのかつての所有者は、屋敷と浅からぬ因縁を持ち、呪いの言葉を叫びつつ黒死病に倒れた絞刑吏助手だった。現場の石室は窓の鉄格子以外に隙間がなく、周囲には足跡も残されていない。これは幽霊による殺人なのか? H・M卿初登場作品。密室での殺害方法より密室が作られた理由の方に感心した。もう意外性はないかと思っていたら、犯人の正体を知ってまたびっくり。少し無理がある気もするけれど。予想以上にトリッキーな小説。

No.2 8点 赤後家の殺人- カーター・ディクスン 2015/10/20 12:14
第一の殺人のトリックは秀逸。毒の性質、毒殺方法のヒントが散りばめられているが、カーらしいオカルト趣味が、うまくそこから注意を逸らしている。第二の殺人及び真犯人の心理や目的については、人によって評価が分かれるかもしれない。個人的には、犯人の特定は十分にできるので、動機は後からついてくるものとして捉えても良いように思えた(まあ、部屋からの返事とか、冗長な要素は多いのだが)。総じて言えば、非常に面白い一冊。H・Mはややおとなしめだが、マスターズはよく頑張った。

No.1 9点 ユダの窓- カーター・ディクスン 2015/10/20 11:24
不可能犯罪の巨匠カーター・ディクスンの傑作。二人のいる密室で片方が死体で発見された。その人は飲み物に薬を混ぜられたと主張するも、デカンターは減っておらず、グラスも濡れていない。あらゆる状況証拠が彼が犯人だと示すなかでヘンリ・メリヴェール卿が弁護する。犯人が使ったという「ユダの窓」。続きが気になり、ページを捲る手が止まらなかった。ストーリーが進むにつれて見事に筆者の手の上で踊らされていた。

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ロマンさん
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採点傾向
平均点: 8.08点   採点数: 177件
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