皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
了然和尚さん |
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平均点: 5.53点 | 書評数: 116件 |
No.8 | 6点 | 帝王死す- エラリイ・クイーン | 2016/04/11 18:39 |
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本作については犯人をネタバレされてもかまいませんが、犯人の出自については絶対秘匿ですね。この意外な展開は本当に驚いて、嬉しかったです。国名シリーズから、たまたま本作へ飛んで読んでしまったら全く感動がない作品になってしまいそうです。「災厄の町」から順番に読むことをお勧めしたいですね。国名シリーズ、ポワロもの、カーとかはどれから読んでも、大して変わらないと思いますが、後期のクイーンは順番は大事ですね。
で、また今回も探偵クイーンは踊らされる(しかも親子で)わけですが、単純に結論に飛びつくわけではなく、なぜ踊らされているのかを考察し、本格パズルを組み立てています。この辺の推理についても、連作で読んでいれば読者の意識とシンクロして楽しめます。 |
No.7 | 7点 | 悪の起源- エラリイ・クイーン | 2016/02/14 17:52 |
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この頃のクイーンの作風らしく、またもクイーンは真相とは別の結論を出します。言い方を変えると真犯人にまんまと利用されます。しかし、今回は承知の上であり探偵としてはかっこいいです。最初に指摘した犯人に対する疑問(こんな動機か?、頭良すぎないか?、証拠が都合良すぎないか?)はそのまま警部の疑問として示され、意外な真犯人が示されます。まあ、ちょっとお伽話的なんですが、本作では結末としてしっくりしていて、納得です。「十日間の不思議」、「九尾の猫」、「ダブル・ダブル」と連続して読んでいくと、今回のクイーンの判断が際立ちますので、この読む順番は守りたいですね。
悪の起源が種の起源をガチガチにモチーフにしているのも良かったですが、最初に死んだ犬の犬種(ビーグル)はもっと早く出しても良かったですね。(どうせわかりません) ちなみに、結末までの展開と文体(アメリカン!)は4点もののつまらなさでした。読み終わってみれば(絵が完成すれば)高得点になるとは推理小説は奥が深いですね。 |
No.6 | 6点 | ダブル・ダブル- エラリイ・クイーン | 2015/10/16 14:47 |
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読み手を選ぶ作品です。クイーン好きでも国名シリーズからいきなりこれを読むとかなりガッカリ物かと思いますが、「十日間の不思議」、「九尾の猫」と読みつなぐと、この頃のクイーンのスタイルに馴染んで、本作も楽しめます。相変わらずのクイーン探偵の踊らされぶりで、犯人指摘後の納得感も薄く、いまいちなのですが、最初から読み直してみると構成的にはしっかりと本格になってます。失敗点は犯人の動機の隠蔽に気を使いすぎ(ま、ここが肝なのですが)不自然すぎる内容になってしまったことでしょうか。一体、この人何人殺したのかなとか、どこで犯罪に持って行ったのかとかは、読み直してみればわかるようになっているのですが、直接の犯罪で死んでいない人は「登場人物」には記載されていないというのは、本格っぽくて+1点です。(偶然か?)
それから、童謡の見立てで「商人」と「証人」が引っ掛けてあったのは、面白すぎますが、原文ではどうなっているんでしょうか? 翻訳者のファインプレーなんでしょうかね? 気になります。 |
No.5 | 6点 | 九尾の猫- エラリイ・クイーン | 2015/08/30 10:34 |
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出だしの部分では国名シリーズの最初の頃のような雰囲気に戻り、期待したのですが、またしてもクイーン探偵は間違ってしまいます。前作に続き、本格物としては大減点です。ドクターが逮捕されたあたりで読む気が無くなったのですが、結末の部分では探偵エラリークイーンを好きにならずにはいられない展開ですね。本作を読まずしてエラリークイーンは(特に後期)語れずという感じですか。 内容的にも手がかりの提示が少なく突然の展開が多いのですが、ABC殺人で真のターゲットの存在をにおわせて、若い2人組の線を伸ばして真犯人をうまく消しているあたりは本格度が十分でした。
<以下 「悪魔の手毬唄 横溝正史」のネタバレ語ります> 真犯人の動機ですが、夫の他の子供(本作は思い込み)を殺して回るあたり、なんとなく「悪魔の手毬唄」を思い出しました。 動機が利害関係ではないので弱いという意見もありますが、個人的にはこの対比で説得力を感じました。 |
No.4 | 5点 | 十日間の不思議- エラリイ・クイーン | 2015/03/25 13:54 |
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初読でしたが後期クイーン的問題とは、この作品を典型とする話なんですよね。クイーン探偵はあまりに無能で、本格推理としてはがっかりさせられますね、ミスディレクション談義をすれば、ミスディレクションは大きく2つに分けることができ、1つは作者が読者に仕掛けるもので、もう一つは作者が探偵をミスディレクションするというものです。後者は本格推理としては本作のようにふやけた内容になりがちかと思います。「ノックスの十戒」「ヴァン・ダインの二十則」に 探偵は間違った推理をして犯人に利用されてはいけない というのを追加してほしいものですね。また、本作ような曖昧な2段返しの結末は、実際の犯人は弟さんで(最後に実利を得ている)兄さんはうまく踊らされた とも言えてしまう(あるいはその弟を母か家政婦が躍らしたかも)となんでもありになってますね。 |
No.3 | 6点 | フォックス家の殺人- エラリイ・クイーン | 2015/03/23 13:25 |
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空さんも書かれていますが、クリスティーの五匹の子豚と同一テーマで、読み比べるとクイーンの作風が出ていて勉強になります。水差しの手がかりが後出しに示され、本格推理としてどうかと思うのですが、同じタイミングで真相の手がかりも示されているので、本格を投げ出しているわけではないようです。結末にはいろいろ意見があるようですが、結局身内に真相を打ち明けるのは、その後の苦悶を考えると非情かと思います。
金田一耕助の礒川警部やDrフェルのハドリー警視のように、真相を聞いても「あっそう」で終わらしてくれる相棒がいれば、話が軽く収まってよかったのですが。 |
No.2 | 6点 | 靴に棲む老婆- エラリイ・クイーン | 2015/03/12 15:33 |
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探偵、警察の目の前で堂々と殺人が行われて、しかも犯人が不明というのは、なかなか良かったです。本作も犯人や裏事情は簡単に推測ができましたが、今のミステリにつながる王道といったとこなんでしょう。3人のきちがいと3人の正常な人なので、一人一殺のほうが良かったかも。 |
No.1 | 6点 | 災厄の町- エラリイ・クイーン | 2015/02/18 14:17 |
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まあだいたい犯人とか妹の正体とか想像できてしまうし、最近の国産ミステリや2時間ドラマと同じ流れで、陳腐。かと思ったら、こっちが70年前の作品なので、皆さんこの辺りを読んで勉強されたんですね。本格好きには物足りませんが、3通の手紙を中心にうまく全体を組み立ててますよね。 |