皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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クリスティ再読さん |
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| 平均点: 6.38点 | 書評数: 1609件 |
| No.1 | 8点 | メグレのバカンス- ジョルジュ・シムノン | 2015/08/29 22:34 |
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| ベストテン選びとかは、メグレ物には極めて縁遠いものなのだが、評者はメグレ物の中で一番好きなのがこの作品だ。
タイトル通りバカンスに出かけたメグレ夫妻。メグレ夫人の旅先での急な入院をきっかけに、半ば巻き込まれるようにメグレが旅先での事件に介入して...という話だが、まあ犯人らしい人物はただ一人で、フーダニット的な色はまったくないが、事件の背景が明らかになるのが最終盤で、そこで話が一気につながっていく快感が○。 また、メグレは自分の推理を語らないので、結果的に(未来の)「被害者を探せ!」になっている箇所があるが、この作品の最大のポイントは、犯人が自分から連続殺人を「降りて」しまうところなのである(そのためメグレが見つけた推定被害者は最大のウラ事情をメグレに話す)。 シムノンの一番イイところというのは、たとえ連続殺人の犯人であっても、鉄の如き非情の神経を持った殺人鬼ではなくて、当たり前の人間の繊細な神経をもち、恐れ惑いながら必死に抗う普通の人間だ、というところなんだよね。どちらか言えば一番非情な犯人の職業として選ばれがちな「医者」で、しかもそれらしいキャラであるにも関わらず、この犯人は殺人が殺人を呼び止められなくなることを理解し、途中で不毛な連続殺人を自ら止める。だからどちらか言えば「小説的でない」結末を迎えるのだが、それでもしっかりと「小説を読んだ」満足感があるのが、シムノン独特の円熟の味だ。類型的ではないオリジナルな良さのある作品。すばらしい。 |
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