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斎藤警部さん
平均点: 6.68点 書評数: 1245件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.4 6点 殺意の絆- 島田一男 2015/06/19 11:04
やっぱり夏は島田一男だナ! シマイチは短篇が一番と思ってたけどさ、長い中篇みたいな長篇のこれも悪くないぜ。 東野圭吾「新参者」と同じ人形町を舞台とした、老舗の人形屋一族を急襲する人形に因んだ”見立て”連続殺人だ。弁護士と刑事、そこに弁護士助手も絡んで粋なやり取りは変わらずの味。ビートルズ解散から間もない頃の(軟派な不良の)若者風俗が痛ましくも郷愁を誘う。真犯人は最初の方で睨んだ奴だったけど、途中で結構迷った。熟達のミスディレクションは本当に狡猾(ズル)いね。 一見チャラいが、脂の乗った手堅い本格推理だよ。

No.3 4点 待避線の狼- 島田一男 2015/05/27 12:28
彼の作品に登場する「夏のビール」がまた、実に旨そうで参ります。
急行列車のホームを歩く売り子さんから買う「缶ビール」ならぬ「缶入りビール」は当然プルタブ式。 タブがそこらに散らばると殺人の証拠品になりかねないぜ。
売りに来るような乾きモノはせいぜいピーナッツにスルメくらいだったろうけど(本当か?)そのほどよい制約が心地よさそうなんだなあ、島田チャンの描く昭和30年代は。おまけに殺人やら失踪が絡んで来るんだぜ。

でも作品としては、、中篇ともなるとちょっと間延びしてサスペンスの魔法が持たないかな。
やっぱ島田チャンは短編がいいや。 

No.2 8点 社会部記者- 島田一男 2015/05/27 12:20
賞を獲ってブレイクした頃のこちらの短編集。
江戸落語を思わせる会話文・地の文がとても時代がかった粋を感じさせ、それも新聞記者という忙しいサラリーマン男社会ならではのちょっと野暮の混じった粋なのが、実に堪らない。こういう小説を読んでると、忙しくて薄給でも好きな仕事をやってる奴は幸せそうだなあ、と思います。
同じく短編集「自殺の部屋」なんかと較べて推理小説としては薄味だけど、それすらまた魅力。

午前零時の出獄 /遊軍記者 /新聞記者 /風魔船
(双葉文庫)

No.1 8点 自殺の部屋- 島田一男 2015/05/26 16:26
夏と言えば島田一男の昭和ミステリー。短編が最高です。
何しろ多作な昭和の流行(うれ)っ子ですからブツは尽きません。安い古本も多い。 

推理小説好きなサザエさんもきっと島田チャンの本は十冊以上読んでた事でありましょう。
そして彼の本によく登場するハスッパな夜のお姐さんや活きのいいブン屋トップ屋連中の言葉を真似て舟さんに「何です、はしたない。」と窘(たしな)められていたのではないかしら。

さて本短篇集、タイトルも刺激的な『自殺の部屋』は島田サンならではの活きのいい会話の転がり具合も愉しいですがどちらかと言うとカッチリした本格推理小説として味わえるハードな小説群と言った色彩。中でも表題作がフーダニット&ハウダニットの意欲作かな。冷気が漂いそうなサスペンスもバッチリだぜ。他の作品も遜色無し。暑さボケした眼がシャッキリ醒めますよ!

蛍光灯 /自殺の部屋 /夜の牙 /たそがれ仁義 /十三号氏の死 /部長刑事(デカチョウ)物語 /南国の夢
(広済堂文庫)

「夜の牙」は裕次郎映画の原作だよな、たしか。

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斎藤警部さん
ひとこと
昔の創元推理文庫「本格」のマークだった「?おじさん」の横顔ですけど、あれどっちかつうと「本格」より「ハードボイルド」の探偵のイメージでないですか?
好きな作家
鮎川 清張 島荘 東野 クリスチアナ 京太郎 風太郎 連城
採点傾向
平均点: 6.68点   採点数: 1245件
採点の多い作家(TOP10)
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