皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
take5さん |
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平均点: 6.61点 | 書評数: 391件 |
No.371 | 7点 | エデン- 近藤史恵 | 2025/07/25 19:26 |
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ドニとニコラの関係の反転
そこだけミステリー的要素 それ以外サクリファイスの 続編という良さ一本で読書 ロード乗りなら凄さに感嘆 ミッコとチカの関係も良い 250ページを1時間半と 私も平地のTT並の速さで 駆け抜けました。次作以後 サヴァイヴ、キアズマ更に スティグマータを楽しみに 読みます。予約手配済み。 |
No.370 | 8点 | 阪急電車- 有川浩 | 2025/07/24 15:45 |
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女の人は花嫁でもないのになぜ白いドレスを着ているのか。
鉄橋下の中洲に石積の「生」の字。どんな理由であるのか。 社会人彼氏がかけた、夜中に「助けて!」の電話の理由は。 一つ一つの小さな興味が、他人への眼差しが、絡み合って、 16もの短編その総体を乗せて阪急電車は走っていきます。 短編が緩やかにつながって一つの物語を紡ぎ、最後に至る。 読み終えた時に温かな読書体験を噛みしめる、そんな良書。 有川浩作品の中で、ミステリー色は薄いですが、必読です。 |
No.369 | 8点 | 十字架- 重松清 | 2025/07/23 16:40 |
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先達の書評がありまして私も記します。
中学2年生の心情からその後の葛藤まで 重松清さんはよくここまで書けるなと。 尊敬、感嘆、一言では表せないですが、 深く心に残る作品。しかし読書ならば、 いずれは忘れてしまうものかもしれない 作品中の残された父に言わせたらまさに そういう事になります。テーマ「償い」 には、向き合うとか人の弱さとか様々な 葛藤が含まれますが、この作品も同様に 読み手の心をさらす鏡の様なものです。 |
No.368 | 8点 | アンハッピードッグズ- 近藤史恵 | 2025/07/23 12:03 |
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近藤史恵の恋愛小説は珍しいので、
どんなものかと思いましたが正解。 素晴らしい描写。最後の反転驚愕。 パリの生活臭が事件の背景にあり、 主人公二人の関係に関わる新婚二人 よく描けていてよい読書時間でした。 |
No.367 | 7点 | 最愛- 真保裕一 | 2025/07/21 19:03 |
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人の本当の強さとは何なんだろうかと、
この話を読んだ後に考えさせられます。 自分の弱さをさらけて誠実に生きる事。 単純にそう言えるのは、その立場の人。 本当に辛い境遇ならは、弱さを晒す前に 社会の側から晒しにかかるから余計臆病 そう臆病にならざるを得ないこと必定。 そこでは誠実さが、美しさより醜悪さに 見えるかもしれない。だからミステリー として、反転するのだと解釈しました。 |
No.366 | 7点 | 家族シアター- 辻村深月 | 2025/07/20 13:47 |
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家族にまつわる短編集全7編
琴線に触れた順番に、 「1992年の秋空」 「孫と誕生会」 「タマシイム・マシンの永遠」 それぞれの作品が、 姉妹 祖父と孫 夫婦幼子父母祖父母 それぞれの葛藤を鮮やかに ラスト爽やかに描いていて 改めて辻村深月さんは 素敵な作品を書くなと思います。 余談ですが、 御本人の藤子・F・不二雄愛を 最後の作品の登場人物を通して 強く感じます。分かるな〜 |
No.365 | 8点 | いつか月夜- 寺地はるな | 2025/07/10 03:21 |
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寺地はるなさんが好きです。
寺地さんの描く人間像には、 読者が自身の中にあるかつて もっていたもの、忘れていた もの、そして今気付かされる まの、それらが詰まっていて 突きつけられるのですが最後 優しさも感じるのです。救い ではない優しさ。それは共に 歩いた夜の散歩仲間がやがて 一人で歩き出すための力の素 ということです。名作です。 |
No.364 | 7点 | 八秒で跳べ- 坪田侑也 | 2025/07/06 18:44 |
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景はなぜバレーボールに向き合うのか?
真島さんはなぜフェンスを越えるのか? 様々ななぜが絡み合い、もつれ合う中で 高校生が少しずつ意味を見出していく。 スカイエマさんの装画がぴったり合って 素敵な作品でした。真剣って良いなあ。 |
No.363 | 6点 | 息のかたち- いしいしんじ | 2025/07/06 12:20 |
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ひょんな事故から
人の息を見る力が 開花?した夏実の 不思議な短編3篇 時代は2020年 コロナ禍ってあれ 何だったのだろう ミステリーですね |
No.362 | 8点 | 網内人- 陳浩基 | 2025/07/05 09:27 |
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「自分の考えを語り、他人を理解しようと
するのは人間の性だ。だが今の人間は、自 分の話は聞いてもらいたいが相手の話に耳 を貸そうとしない。その結果、世界はどう なった。聞くに堪えないノイズだらけじゃ ないか。世界がさらに進歩し、人類がネッ トをもっと有効に使うことができるように なるには、もう少し時間がかかるだろうな」 アニエはそこで息を継ぐと、さらに続けた。 私達の社会に網の目のように張り巡らされる ネット社会、その中で思考のバイアスを疑う こともせずに流される私達、何方に対しても 目を見開かされる名作。胸熱要素盛り沢山で カットバックの収束も文中の東野圭吾や文豪 のアンナ・カレーニナ、ディーバーまで登場。 ホームズとワトソンになぞらえる相性のよい アニエとアイのコンビ、シリーズ化願います。 |
No.361 | 6点 | ウォッチメイカーの罠- ジェフリー・ディーヴァー | 2025/06/30 21:15 |
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いつもながらリーダビリティは高いです
ちがうのは敵役の心理と行動がはっきり オープンなことで、どんでん返しを損な うもとになってしまいました。これまで の宿敵が消えて、次作は女性Xがそのや くをするのでしょうか。著者75歳を過 ぎ、ここからかつてのワクワクは、かな り厳しいかなと。少し淋しく感じました 。 |
No.360 | 8点 | 赤い指- 東野圭吾 | 2025/06/30 09:01 |
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そういえば書評していなかったとい
う本の一つ。装幀の印象が強く残っ ていて、2006版はレタリングも いい感じに合っています。勿論内容 があってこそなのですが、人は人の あたまの中は覗けないから、あなど ったり不信感を抱いたりする、従っ て、結果的に誘導されている。そう いった作品の最右翼です。東野氏は まず容疑者か白夜?いや私はこれを すすめます。社会派として秀逸だし 。 |
No.359 | 6点 | 逆転美人- 藤崎翔 | 2025/06/29 16:02 |
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たくさんの方が書かれていますが
ていの良い二番煎じという反論も よ見してわざとでしょう。ヨガ師 みたいなあの表紙の。内容はその 書物よりもトリックの必然性高く 評価できます。解答編の多弁とて も優しいですが、本編最後の角は 先出し過ぎですね。答えにほとん どなっています。紙媒体の矜持誇 りを逆手に取る他の作品、例えば あの透き通った物語などもやっぱ り賛否分かれるのでしょう。僕は まあまあ気に入っています。なお すマホ書評は常に縦読み対応です なぜなら画面に入らないからです 。 |
No.358 | 7点 | 普通の子- 朝比奈あすか | 2025/06/22 12:59 |
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息子はなぜ学校のベランダから飛び降りたのか?
主人公である母親美保の目を通して語られる景色 それが次第に他の情報から反転していく心理小説 自身の幼少期の思い出が絡み、結果は予想通りで しかし誰もがどこかで身につまされるバイアス話 300ページ足らずで読後感良くないが一気読み |
No.357 | 7点 | 明日の雨は。- 伊岡瞬 | 2025/06/15 16:26 |
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私、教育関係当事者なので細かいディテールは
おやと思うところもありますが、差し引いても 主人公の葛藤や子どもたちの心理描写は楽しめ 且つなるほどと思うところもありました。視点 それは親と子ら、同僚と主人公で多分に変わり そこが本作をミステリーとする点でもあります。 他の方の書評から手に取った作品で、作者初読 これから機会があれば、他の作品も試します。 |
No.356 | 8点 | 白夜行- 東野圭吾 | 2025/06/10 00:16 |
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もう10年以上前に読み、書評が
しかし青臭い事を言っていたので、 もう一度書きます。縦読み込みで。 この作品の胆は心理描写の関節表現 ことに二人の共依存の強さを本人達 が語らずに悟らせるところです。 ただ、最後の方に重要な台詞があっ て、雪穂について亮司がいう台詞を よみますと、「その後ろ姿は白い影に みえた。彼女は一度も振返らなかった。」 だそう。これまで雪穂を照らしてきた とう事者が死をむかえても、白い影 を失わず、他の誰か、または雪穂が もつ地位美貌財産などで照らし暮ら していくという比喩になっています ろんより証拠、雪穂自身も同じ様に いってます。 「あたしの上には太陽 なんかなかった。いつも夜。でも暗く はなかった。太陽に代わるものがあったから。」 はい、太陽ほど明るくはないけれどと はっきり言ってます。それであたしに は十分だったそう。ここに男女の差 は見られますね。大変興味深いです ! |
No.355 | 8点 | サウスバウンド- 奥田英朗 | 2025/06/08 16:13 |
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作者の作品は、伊良部シリーズも好きですが、
こちらも読み応え十分で、大変満足しました。 まず主人公含む4人の家族が大変魅力的です。 途中までの破天荒で、過去の傷が癒えない感じ それが第二部に入り、お互いが八重山の自然に 潔いほどあらわれて行く様が見事でした。他の 脇役も良い味を出したいます。本作のテーマが 政治・経済に翻弄される少数の声なき声に光を 当てる処にあるとすれば、私にはどストライク 650ページラストを飾る島の放送がググッと 心に刺さりました。全ての方にお勧めできます |
No.354 | 4点 | 口に関するアンケート- 背筋 | 2025/06/07 12:05 |
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まずびっくりするほど小さな本
そしてとんでもなく薄い50P 複数の告白から構成される内容 最後のアンケートで作中作判明 内容に見合う費用対効果感じず 550円は質量あたり高額すぎ 印字のグラデも効果に甚だ疑問 作者名背筋は音訓どちら読み? 狙っていて最大のミステリです |
No.353 | 7点 | 全員犯人、だけど被害者、しかも探偵- 下村敦史 | 2025/05/31 20:32 |
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多重解決ミステリーを、さらに捻った努力作。
タイトルから想像する事の一つ上を行く最後。 読む前に300ページしかなく、読み始めて、 途中だれるのですが、最後スピードが増して、 ビックリしているうちに終わりました。さらに ここまでの評価の低さにびっくり。間違いなく 作者は頭が大変切れ、作品はまるで人民協会風 やはりこね過ぎですかね。嫌いじゃないですが。 |
No.352 | 7点 | ロスト・ケア- 葉真中顕 | 2025/05/31 13:49 |
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葉真中顕作品の映えある一つ目
日本ミステリー大賞新人賞受賞 素晴らしい取材から、社会提言 老人介護問題を構造上の欠陥と 日本的先送り主義を突きつける まさに思考の反転を促す作品。 ミステリー要素は人物の思考が 反転する以外は、人称のずらし ちょっぴりしかありませんが、 しかしこれは後のBlueや鼓動に 確かに繋がる作品です。高品質。 |