皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
|
HORNETさん |
|
|---|---|
| 平均点: 6.34点 | 書評数: 1264件 |
| No.4 | 8点 | 贖罪の奏鳴曲- 中山七里 | 2015/08/14 11:34 |
|---|---|---|---|
| 少年期に殺人を犯した前科者という異色の経歴を持つ弁護士、御子柴礼司。先に「追憶の夜想曲」を読んでいたので、御子柴の少年刑務所時代が描かれている本作は、ルーツがわかるという点でも非常に面白かった。
中山七里は非常に描写が優れた作家だと思う。場面や心情の描写が特徴的で、かといってレトリックを駆使しすぎてうるさすぎる感もなく、非常に引き込まれる。 悪役でありながら、実は徹した悪漢ではなく、奥底に人間的魅力を備えた御子柴礼司はとても惹きつけられるキャラクター。このシリーズいっぱい書いてほしい。 |
|||
| No.3 | 8点 | アポロンの嘲笑- 中山七里 | 2015/05/02 20:11 |
|---|---|---|---|
| 突如襲った大地震に、全ての機能が麻痺している福島県。そんなさなかに飛び込んできた殺人事件の一報。東日本大震災を舞台・題材とした重厚なミステリ。著者の原発および原発に関する国政や組織に対する強烈な批判が込められた、社会小説としての要素も色濃い一作である。
福島第一原発の作業員として働く親子、その家族。その家族に迎え入れられているぐらいの親密さで付き合いのあった、同じく原発作業員の加瀬。その加瀬が、世話になっている家族の息子、純一を刺殺した。事件後、警察の隙をついて逃走した加瀬。しかし、その向かっている先はどうやら福島第一原発。いったい加瀬は何を考えているのか、そして事件の本当の内情は…? 当時の悲惨な状況をリアルに描く文章、逃走劇の疾走感、原発政策に対する怒りを発露する力ある描写。非常に「読める」。結末の在り方や真相については、現実主義の人には賛否両論かもしれないが、私は◎。 |
|||
| No.2 | 9点 | 追憶の夜想曲- 中山七里 | 2015/05/02 19:46 |
|---|---|---|---|
| 「さよならドビュッシー」は読んだが、ずいぶん作風の違う本作品を読んで、自分の中で中山七里の評価が跳ね上がった。こっちの方が断然好み。
このサイトで、シリーズの前作があることを知った。まったく知らずにこちらを読んだが…非常に面白かった。元犯罪者の弁護士・御子柴という設定と、その人物像。被告本人も罪を認め、敗色濃厚というか負けしかありえない事案の弁護を買って出た理由の真相。そして、事件の真相。設定、複線、ミステリとしての中心的な謎と、いくつもの要素でリーダビリティを高めているうえに、それが相互に絡み合っている。中山七里という作家の手腕、作品のクオリティの高さに圧倒された。 「さよならドビュッシー」が有名になったことが返って弊害になりはしないか。あの作品だけで氏を評価し、「私はちょっと違う…」と判断する人がいたら非常にもったいない。 |
|||
| No.1 | 6点 | さよならドビュッシー- 中山七里 | 2014/09/14 14:14 |
|---|---|---|---|
| 物語冒頭の、真相に関わる登場人物の出し方がちょっと露骨で、分かりやすすぎるきらいがあり、ミステリとしてはやや大味な印象は否めない。が、クラシック音楽の世界を織り込んだ物語の雰囲気作りがそれを補っているかなと思う。ピアノ演奏に関する描写は正直読み飛ばしていたが、苦になったのではなく、「雰囲気」として楽しんだということ。
どうやらこのピアニストを主人公としたシリーズになっているようなので、機会があればそれも読んでみたい。 |
|||