皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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HORNETさん |
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| 平均点: 6.32点 | 書評数: 1186件 |
| No.4 | 7点 | 悪魔が来りて笛を吹く- 横溝正史 | 2015/03/08 19:36 |
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| 密室トリック,なかなか納得◎。しかもこの厚みと展開の中ではそれはあまり重要ではなく,純粋なフーダニットで◎。しかしこの人の作品を読んでいると,華族とか名家とか,そういう高尚な家柄の人間は何か歪んでいるという偏見をもってしまう。
後半怒涛の勢いで分かってくる新事実が多く,飛躍的な想像やなんとなくの勘でしか真相を事前に看破できる感じはないとも思うが,「悪魔が来たりて…」のフルート曲に隠されていた真実には思わずうなった。そこで+1点してこの点数。 横溝作品にしてはすらすら読める印象が強かった。 |
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| No.3 | 7点 | 犬神家の一族- 横溝正史 | 2013/02/16 13:29 |
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| 新版「東西ミステりーベスト100」に触発されて再読。
遺産相続にまつわる親族同士の泥仕合が、見立て殺人、顔に大やけどを負ったデスマスクの青年、という映像的インパクトの強い描写によって彩られている作品。そうしたインパクトがあまりに強いのと、角川が版元として初めて映画製作に乗り出した、いわゆる最初の「角川映画」であることとで、世ではもっとも有名な横溝作品とも言える。 トリックでは、ちょっと無理なのではないか、偶然がすぎやしないか・・・と思えるような離れ業・ご都合主義もあったり、真犯人もさほどインパクトを感じなかったり、といった感もある。が、この作品の魅力はその雰囲気であり、それでいいと思えた。 しかし、どう考えても「もめごとを引き起こすため」としか思えない、佐兵衛翁の遺言状は・・・・。 |
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| No.2 | 8点 | 獄門島- 横溝正史 | 2013/02/16 12:56 |
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| 新版の「東西ミステりーベスト100」に触発されて再読。
伝統的であるがゆえに閉鎖的な田舎の村、身分や階級が根強く残るやはり閉鎖的な人間関係、そこで起こる不可解な見立て連続殺人・・・と、氏の代名詞的な魅力が凝縮され、横溝作品の中でも最高傑作と名高いのもうなずける。 連続殺人のトリックや真相につながる伏線が、人物の言動や鬼頭家の背景を描く中に巧みに描かれている。視覚的なインパクトやおどろおどろしい雰囲気が前面にある作品だが、ミステリとしての精緻さ、巧みさが織り込まれており、真相にたどり着いたときにはただただ感心した。「見立て殺人」の必然性は確かに弱い(というかない)が、この場合はそもそも殺人動機とそれが一体なわけで、自分はあまり気にならなかった。 それにしても結末は悲しすぎる。どこまでも救われないこうした結末も、横溝作品の多くに見られる特徴ではないか。 |
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| No.1 | 9点 | 八つ墓村- 横溝正史 | 2011/01/08 21:43 |
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| 因襲はびこる閉ざされた村,広い古屋敷に住む由緒ある家系・・・こうした,設定だけでも「背筋が寒くなる」横溝世界は,血しぶきが飛ぶホラーよりもよほど怖いと感じます。現代は三津田信三がこの路線を引き継ぐのみ,希少な作家であり作品です。
そうした横溝世界がこれでもかと味わえる作品。夜読んでいると,トイレに立つことが出来なくなります。この作品のモデルとなった「津山三十人殺し」という事件が実際にあったことを知り,ますます震え上がりました。 |
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