皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
虫暮部さん |
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平均点: 6.22点 | 書評数: 1848件 |
No.4 | 8点 | 巫女の棲む家- 皆川博子 | 2022/11/24 12:27 |
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“霊媒” の一語で始まるが、その交霊術はホンモノではない。しかしそれが人の心の中で蠢き、悪意ではなく心霊現象的事象が生まれ、ホンモノの定義が揺らぎ、信仰が成立するさまが、非常な説得力で描かれている。複数の語り手の思想の違いが、そして彼等がその道に踏み出す気持が、伝わって来た。心の弱い人がそうなるんだろうなんて安易な理解は斬って捨てられるのだ。
四割くらい作者の経験談だそうで納得。この面白さは危険だなぁ。私は、カルトに嵌まる下地を本書で調えられてしまったかも……? ところが結末で急転直下、乱暴な着地を遂げてしまう。この雰囲気には覚えがあるぞ。風呂敷を広げ過ぎた連載漫画が、期待したほど人気が出ず、あと3回で完結させて下さい、ってことで急いでまとめにかかるあの感じ。ページ数の制限があったのだろうか。作者の望んだエンディングとは思えない。 |
No.3 | 7点 | 霧の悲劇- 皆川博子 | 2021/12/19 10:41 |
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被害者の過去をほじくり返しているだけでは……? と思っていたら、戦時中の蛮行とかにつながって、島田荘司の社会派作品みたいな流れに。書き方は上手い。
“プラカード作戦” はなかなか思い切った展開だと苦笑。宗教ネタはサラッと過ぎちゃって残念。古葉が積極的に関わる動機付けが今一つ不明瞭で、課長ではないが “何故そこまで” と言う疑問は残った。 |
No.2 | 5点 | 虹の悲劇- 皆川博子 | 2021/12/19 10:34 |
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二つの話がラストで一つに、と言うのはよくあるパターンだが、本作はかなり強引。それぞれの事件や心理描写は悪くないのに、それを嚙み合わせちゃったせいで首を捻らざるを得ない読後感に。
なにしろ事件同士はまぁ無関係。その割にバッタバッタと人が死ぬ。“蔓でつながれた小芋” との感慨はなかなかインパクトがあった。 アイ子の遺体発見時、施錠された玄関の蝶番を外からはずしてドアを開けた、ってそんなドアが普通にあったの? |
No.1 | 6点 | トマト・ゲーム- 皆川博子 | 2021/11/30 12:42 |
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最初期の作品集、にしては随分手馴れた書きっぷりではないか(この時点で四十代だが、私は年齢はあまり関係ないと思うので)。
時代風俗のせいもあり(頭脳警察がゲスト出演!)、あくまで“一世代前の物語”を遠くから眺める感覚だけれど、「アルカディアの夏」にはクラクラした。部屋の臭いまで感じられそう。 |