皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
虫暮部さん |
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平均点: 6.22点 | 書評数: 1843件 |
No.9 | 6点 | 密室殺人ゲーム・マニアックス- 歌野晶午 | 2020/03/30 12:22 |
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多分これは意図的に問題のある問題を出し、それに対する読者の批判と作者の反論をシミュレートして、解答者対出題者のチャットの形で提示している。
もっともらしく言えば、ミステリ読者に対する批評。つまりは、読者に対して作家として言いたい、けど言うのは如何なものか、である本音をやっぱり言ってやる! と言う鬱憤晴らしに書いたんじゃないかなぁ。読者は簡単にこういう文句を言うよねぇ、ということである。 特にQ1とQ2に対するストレートな批判は、まさに作者が読者に言わせたかったことであって、作者の思う壺だと思う。 |
No.8 | 7点 | 密室殺人ゲーム2.0- 歌野晶午 | 2020/03/27 14:08 |
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前作と比較するとそこまで素晴らしいトリックは見当たらない。「相当な悪魔」の“一番重要な部分”はグッと来た。
「三つの閂」の箱は“凸凹があると接着がうまくいかない、作っては壊し、完成までに十一回の失敗”云々とある。この箱、うまく接着出来るかどうかは試してみないと判らないし、試してみて接着出来ちゃったものは本番ではもう再使用不可なんじゃないの? |
No.7 | 8点 | 密室殺人ゲーム王手飛車取り- 歌野晶午 | 2020/03/20 12:06 |
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江戸川乱歩「赤い部屋」を読んだ時はちょっとがっかりした。赤い部屋と言う“場”はあまりフィーチュアされておらず、新入会員が長々と喋るだけ。あの設定なら、百物語よろしく交互に各自の体験を披露し合って、丁々発止の殺人談義に興じるほうが絶対に面白いと思うのだ。
それがこれ。 偶然の類似、ではない。作者は元ネタを示すためにわざわざ刻印を残している。ラストが何故あんななのか判らない方、是非「赤い部屋」御一読を。 物語に組み込むとトリックの為のトリックになってしまうトリックも、こうすれば使えるんだと感心しきり。「生首に聞いてみる?」の“花瓶と生首”は素晴らしい。『なめくじに聞いてみろ』(都筑道夫)→『生首に聞いてみろ』(法月綸太郎)→「生首に聞いてみる?」伝言ゲームみたい。 しかし、全編通して会話の言葉遣いが醜悪で閉口した。 |
No.6 | 8点 | 間宵の母- 歌野晶午 | 2020/03/06 10:45 |
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いやぁびっくりした。思い返せば同じ作者の旧作に似たような構造のものがあるけれど、見せ方によってちゃんと違った読み味に仕上がっているので、私はその点肯定的だ。Dの使い方があまりにオールマイティに過ぎるか? まぁあくまで補助的な小道具だからね……。 |
No.5 | 4点 | ずっとあなたが好きでした- 歌野晶午 | 2018/07/30 10:37 |
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どれもこれも中途半端なところでぶった切ったような結末なのはどういうことか。“大きなパズルのピース”としての役割に傾注し過ぎで、個々の短編としての純粋な満足度がいまひとつ。その割に分厚いので読み進めるのがちょっときつかった。
私の場合は、「匿名で恋をして」“ロレッタ”の由来が推測出来たので、次の「舞姫」を読んだところで全体の仕掛けがなんとなく見えた。収録順に一考の余地あり? |
No.4 | 7点 | ディレクターズ・カット- 歌野晶午 | 2017/12/12 13:02 |
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私もひとを刺したくなって来ちゃったなぁ。困ったなぁ。図書館で騒ぐ大人がいると結構本気の殺意が湧くんだ。とりあえず鋏は持ち歩かないようにしよう。 |
No.3 | 8点 | コモリと子守り- 歌野晶午 | 2013/05/20 04:28 |
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タイトルを最初に考えたのかとツッコミたくなるが、いやいや、作者は“シリーズ探偵もの”に対する疑問を持って、その回答として“成長に伴いスタンスが変化する探偵役”を書いたのではないか。面白かった。
ただ、エピローグはあまり共感出来なかった。いい風に書いているが、彼の兄へのこだわりは、子を虐待するくせに親権に固執する親の気持と同類項に思えるのだ。あ、本編と対比してる? ところで、レジの店員は以前来店した客が再び来たときに何割くらい気が付くか、といった台詞があった。この話、気付かなかった場合は気付かなかった事にも気付けないので、ちょっとしたパラドックスである。ネタなのだろうか? |
No.2 | 7点 | 春から夏、やがて冬- 歌野晶午 | 2012/02/23 06:43 |
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つくづく、『葉桜』は歌野晶午にとって重い枷になってしまったなと思う。こういった、人生の悲喜こもごもを描く類の長編を読むと、ついついどんでん返ししかも叙述トリック系を期待してしまうけれど、そういうネタは予め期待している時点で効果半減なのである。
本作も、先入観がなければ結末でもっと驚き、感動できたのに。ということで、いっそのことこれ系は別名で発表して下さい!! |
No.1 | 9点 | Rommy- 歌野晶午 | 2010/12/24 10:25 |
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本作を発表当時ではなく今、読んだのは私にとって幸なのか不幸なのか。衝撃度はおそらく低下している。しかしそれゆえにこそ、感慨深い気もする。時代は変わるのだ。
惜しむらくは、ROMMYの「歌詞」が物足りない。あれでは'70年代後半のヤマハポプコンである。でもまあ、小説や漫画の作中楽曲の歌詞で出来の良いものには殆どお目にかかったことがない。仕方がないかなぁ。 |