皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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kanamoriさん |
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| 平均点: 5.89点 | 書評数: 2460件 |
| No.500 | 7点 | 摩天楼の身代金- リチャード・ジェサップ | 2010/06/19 14:08 |
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| 今思うと、80年代前半に続々と出た文春文庫の翻訳ミステリは充実していました。
「超音速漂流」「サンドラー迷路」「フィッシャーを殺せ」「復讐法廷」など、その後復刊された本もありますが、埋もれた傑作のひとつが本書です。 超高層豪華マンションの爆破脅迫もので、この手のクライムサスペンスでは「シャドー81」に比肩する徹夜本でした。 ベトナム戦争が絡む点も似ていますが、特筆すべきは前代未聞の身代金奪取方法で、これだけでも読む価値ありです。主人公の犯行動機がナイーブな人物造形と併せて共感を呼ぶ設定も巧いと思います。 |
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| No.499 | 5点 | 割れたひづめ- ヘレン・マクロイ | 2010/06/18 21:24 |
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| ベイジル・ウィリング博士シリーズの第12作目。
吹雪で道に迷ったウィリング博士夫婦が辿りついた屋敷での怪奇趣向の殺人事件を描いています。 サスペンス小説に軸足を移していた作者が久々に書いた本格編ですが、「人を殺す部屋」テーマとしては、少年少女の造形がサスペンスに水を差し緊迫感に欠ける展開で、真相も意外なものとは言えませんでした。 |
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| No.498 | 8点 | 皇帝のかぎ煙草入れ- ジョン・ディクスン・カー | 2010/06/18 21:01 |
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| 作者の代名詞である怪奇趣味がまったくないスマートな本格編です。
有名な心理トリックについてはある程度途中で察することができましたが、トリックを隠蔽するための小道具の使い方や叙述の巧妙さなど、カーのテクニックを存分に味わう事ができました。 小道具の煙草入れについてはトリック成立に寄与すると同時に、その形状によりトリックを暴露するための小道具でもある訳で、そこに一番感心しました。 |
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| No.497 | 3点 | ルインズ-廃墟の奥へ- スコット・B・スミス | 2010/06/18 20:43 |
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| メキシコのマヤ文明遺跡近郊を舞台にしたホラー小説で、4名の男女にある物が襲いかかる恐怖体験を描いていますが、あまりのテンポの悪い進行と凡庸なプロットで読み終えるのが苦痛でした。
あのサスペンスの傑作「シンプル・プラン」の作者による作品とは信じられない出来です。 解説によると、作者はデヴュー作のあまりの成功により長らくスランプに陥っていて、書き上げた作品がことごとくボツにされていたとのこと。ようやく出版にこぎつけた第2作が本書なわけで、なんとなく納得いきました。 |
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| No.496 | 7点 | 国会議事堂の死体- スタンリー・ハイランド | 2010/06/18 20:23 |
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| 国会議事堂のビック・ベンの壁から発見された古い死体の謎を巡る本格ミステリ。
探偵役の若い国会議員を含めた調査委員会による歴史ミステリ的展開の前半部分は少々リーダビリティに欠けますが、ある事実が判明して、これまで積み重ねた推論が根底から崩れるシーンはなかなか衝撃的です。 後半のロジックの展開と意外な結末は予想以上に満足いくもので、個人的には国書刊行会の叢書ではベスト3に入る作品です。 |
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| No.495 | 6点 | 雨の午後の降霊会- マーク・マクシェーン | 2010/06/18 18:56 |
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| ちょっと変わった雰囲気の誘拐サスペンスでした。
生活に貧した霊媒師夫婦が自身の予言能力の評判を上げるため少女を誘拐するというストーリーですが、計画の杜撰さなどを見ても、作者は通常の誘拐サスペンスを目指したものではないようです。 白黒映画を見るような、暗いトーンで描かれる夫婦の日常描写などは、なかなかよかったのですが、ラストの処置に関しては読者によって相当評価が分かれるところではないかと思います。 |
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| No.494 | 6点 | 死の競歩- ピーター・ラヴゼイ | 2010/06/18 18:35 |
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| ヴィクトリア朝ミステリ・クリッブ巡査部長シリーズの第1作。著者のデヴュー作でもあります。
このシリーズは19世紀の英国の珍しい風習などを小道具に使ったものが多くて、本作の”ウォッブル”という競技は「競歩」と訳されていますが、時間を競うのではなく限られた日数で距離を競うスポーツです。 競技中の殺人を競技中に解決するプロットがユニークで、容疑者や証人も競技者だから、クリッブも彼らと並走しながら尋問というのが笑える。 本格ミステリとしては意外性が少ない、こじんまりとまとまった作品でした。 |
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| No.493 | 7点 | 悪魔を呼び起こせ- デレック・スミス | 2010/06/17 21:53 |
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| ”密室ミステリファンが書いた密室ミステリファンのための密室ミステリ”という惹句がぴったりの本格編。
鍵のかかった部屋、衆人環視状況、足跡のない現場と不可能興味がてんこもりで、「人を殺す部屋」テーマの似非カー・ミステリを堪能できます。 一発ネタのトリックではないので、仕掛けは少々複雑ですが、アマチュアの作品にしては及第点です。 |
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| No.492 | 6点 | 虎の首- ポール・アルテ | 2010/06/17 21:07 |
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| バラバラ殺人事件と村の盗難事件に続く密室殺人がカットバック手法で描かれていくプロットは、読者を幻惑させるより謎の核心を散漫にさせ、成功しているか微妙です。
ツイスト博士のトランクに死体の一部が入っていたエピソードや二つの事件の関係がある意味「三つの棺」と類似していたりで、ディクスン・カーの影響が覗えますが、真相の隠蔽という点では邦訳作品内で上位の佳作といえると思います。 |
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| No.491 | 6点 | チャーリー退場- アレックス・アトキンスン | 2010/06/17 20:33 |
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| 植草甚一が作品の選定&解説を務めた幻の叢書”クライム・クラブ”のなかの一冊。当叢書はあまりの玄人好みの選定で、読者を選ぶ作品が多いのですが、本書は比較的オーソドックスな劇場ミステリです。
主演男優の楽屋の殺人を描いていますが、多くの劇団関係者が登場し派手さのない展開は英国ミステリの典型です。本職のミステリ作家の作品に引けを取らない端正な本格編でした。 |
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| No.490 | 5点 | サイモン・アークの事件簿〈Ⅰ〉- エドワード・D・ホック | 2010/06/17 20:11 |
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| オカルト探偵サイモン・アークの第1短編集。
シリーズ作品は60作以上書かれていますが、発表順の全集ではなく、各年代からチョイスされているのはちょっと残念。 著者の短編デヴュー作の「死者の村」が探偵の特質を活かしたオカルト色の強い設定で編中のベストですが、年次を重ねる毎にアークが普通のキャラになっているように思います。 不可能犯罪の趣向が光る「狼男を撃った男」が準ベスト作品です。 他の作品集で読める作品が多く含まれているため編集方針に▲1点。 |
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| No.489 | 7点 | 女占い師はなぜ死んでゆく- サラ・コードウェル | 2010/06/17 18:57 |
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| ヒラリー・テイマー教授を探偵役とするシリーズ第4弾。
大学教授と教え子が安楽椅子形式で殺人事件の真相を解いていくというのがシリーズの常道で、本作も女占い師の謎の死を、主に関係者からの手紙で事件を描写しながら推理していきます。 若干地味な印象もありますが、複数人物による推論を二転三転させる手際は巧みで、本格ミステリのツボを押さえています。作者急逝により本書が遺作になり、テイマー教授の人物像(性別も不明)も謎のままとなりましたが、もっと読みたかったシリーズです。 |
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| No.488 | 8点 | 真夜中の死線- アンドリュー・クラヴァン | 2010/06/17 18:38 |
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| タイムリミットものサスペンスの傑作。
死刑囚の無実を確信した新聞記者が、残されたわずかの時間内に冤罪を晴らすべく孤軍奮闘するというプロット。同類のサスペンスはいくつか読んできましたが、定番の展開と思いながらも物語に引き込まれました。 要因は構成の巧さと達者な筆力で、一人称部分の新聞記者エヴェレットのダメ男ぶりな人物造形と、三人称部分の死刑囚の緊迫した心情が対比して描写されて物語が進展していくところ。 仕事と家庭両面でのダメ男が最終局面でどう変わっていくか、サスペンスとともに人間ドラマとしてよく書けています。 |
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| No.487 | 6点 | 騙し絵- マルセル・F・ラントーム | 2010/06/16 21:21 |
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| 厳重監視下の室内からの宝石の盗難がメイントリックの不可能犯罪もの本格?ミステリ。
いかにもフランス本格らしい大らかで豪快なトリックは無茶だけど面白い。多国籍警察官という発想もすばらしい。細かいことを言わずに笑って楽しむ作品。 後半の冒険サスペンス風の展開も、アルセーヌ・ルパンを輩出させたお国のミステリらしくてなかなかいいですね。 |
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| No.486 | 5点 | 魔法人形- マックス・アフォード | 2010/06/16 21:06 |
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| 悪魔学研究家の屋敷を舞台にした古典本格ミステリ。
たしかに豪州のディクスン・カーと称されるように怪奇趣味と不可能犯罪が描かれていますが、トリックが平凡な上に偶然を利用していたりで本家ほどのテクニックが感じられませんでした。 伏線がこまめに張られていますが、描写が正直すぎて真相が分かりやすくなっています。 |
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| No.485 | 8点 | 狙った獣- マーガレット・ミラー | 2010/06/16 20:52 |
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| 米国の三大女流サスペンス作家のひとりマーガレット・ミラーの代表作といわれる作品。
巨額の遺産を相続した女性宛に架かってきた死を予言する電話で物語の幕が開きます。 マクロイやアームストロングのサスペンスとの一番の相違点だと思うのは、心理描写が執拗で重厚な点で、単にミステリの道具となっていないと思わせるところです。そのため結末のサプライズに欠ける作品もありますが、本書は文学性とミステリ趣向のバランスがとれた名作だと思います。 |
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| No.484 | 5点 | 技師は数字を愛しすぎた- ボアロー&ナルスジャック | 2010/06/16 18:57 |
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| 不可能犯罪を扱った正統派の本格ミステリ。
従来のような登場人物の心理の綾を絡めたサスペンス風のテイストは全くありませんので、ボアローの単独作と言われても違和感がない作品です。 これでもかというぐらい密室殺人が連続して起こりますが、淡泊な描写で物語が味気なく感じられ、内容の割に緊張感がないですね。 |
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| No.483 | 6点 | ひとりで歩く女- ヘレン・マクロイ | 2010/06/16 18:41 |
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| 著者が従来の本格から作風を転換する契機になったサスペンスミステリ。
物語はいきなり女性の手記で始まります。 大金の運搬を依頼された女性が、西インド諸島からワシントンに向かう客船上で身の危険を感じ、警察署長宛てに手記を残すというプロットですが、作者が意図した仕掛けが序盤で察せられたため、期待したほど読了時のカタルシスは得られませんでした。 「地の文章で虚偽の記述をしてはならない」というミステリのルールの境界線を狙ったような感じですが、クリステイならもっと上手く騙せたように思います。 |
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| No.482 | 7点 | 無実はさいなむ- アガサ・クリスティー | 2010/06/15 21:58 |
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| 冤罪がテーマのノン・シリーズ長編ミステリ。
慈善家の老婦人殺しの罪で逮捕され獄中死した養子ジャッコの冤罪疑惑を巡る物語。 本書は著者自身が好きな作品の一つに挙げているようですが、一般的な人気はさほどないようです。テーマが重たく物語が暗いトーンに覆われていることと、シリーズ探偵が出てこない点が理由じゃないかと思います。 クリステイを読むのは約20年ぶりなので、思ったより新鮮な感じを受けました。犯人の設定方法は女史の得意のパターンなんですが、普通に面白かったですね。 |
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| No.481 | 6点 | 泥棒は哲学で解決する- ローレンス・ブロック | 2010/06/15 21:20 |
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| 泥棒バーニイ・ローデンバーが探偵役を務めるシリーズ第4弾。
泥棒に入った先で死体に遭遇したり、関係者が殺されバーニイが容疑者になるという同じパターンで巻き込まれ型探偵を演じます。一人称形式で語られるバーニイの軽妙なアメリカン・ユーモアも楽しみの一つですが、毎度きっちりフーダニットものの本格ミステリになっていて、今回も大団円では関係者を集めての謎解きが見られます。 本作は特に犯人特定のロジックがきれいに決まっているように思いました。 |
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