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まさむねさん
平均点: 5.86点 書評数: 1154件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.43 8点 女王国の城- 有栖川有栖 2023/10/08 19:04
 世にも珍しい高価な食材などを使わなくても、一つ一つ丁寧に調理することで、多くの人の舌を満足させられる料理に仕上げられる…そんな印象。宗教団体「人類協会」の描き方に作者らしさを感じたりも。
 シリーズものとして楽しめるのもいい。このシリーズは長編5作で完結する予定とのことなのですが、いつになるのだろう。早く読みたいような、もう少し待ってほしいような…。

No.42 6点 濱地健三郎の幽たる事件簿- 有栖川有栖 2023/08/15 20:29
 シリーズ2作目。純然たるホラーあり、ホラーだけどコミカル・タッチもありの短編集です。個人的ベストは、弟の依頼で姉の失踪の謎を解く「姉は何処に」でしょうか。ミステリの味付けが最も濃く、ホラーとしても成り立たせています。
 江神二郎も火村英生も好きですが、濱地健三郎もイケています。助手の志摩ユリエの効果も大きいかもですが。

No.41 5点 こうして誰もいなくなった- 有栖川有栖 2020/09/22 21:47
 掌編から中編まで、ノンシリーズの14作品を収録。「有栖川小説の見本市」との謳い文句については、そういった面を否定するつもりはないのだけれども、有栖川ファンとしては、いやいや、本物(これまでの発表作品)と比べて「見本」が見劣り過ぎでは…という気もいたします。
 ベストは表題作の中編だと思うのですが、好き嫌いは分かれそう。そもそもラジオ朗読用として書かれた複数の短編については、活字となってどうかは措いておくとして、確かにラジオで聴いたとすれば、雰囲気も倍増して楽しめそうでしたね。

No.40 6点 カナダ金貨の謎- 有栖川有栖 2019/10/14 23:32
 火村シリーズの中短編集。個人的に、このシリーズは安心して読めるので好きです。
①「船長が死んだ夜」
 新本格30周年記念アンソロジー「7人の名探偵」収録作で、ワタクシとしては既読だったのですが、アレの使い方については結構分り易かったかな。
②「エア・キャット」
 コンパクトな短編。猫好き火村を活かした面白さがあります。
③「カナダ金貨の謎」
 国名シリーズ初の倒叙モノ。そういった点での新味はありますが、平均レベルかな。
④「あるトリックの蹉跌」
 これもコンパクトな短編で、火村とアリスの出会いの一コマ。
⑤「トロッコの行方」
 トロッコ問題を絡めたことのメリットは認めつつも、何となく中途半端感が残ったのは私だけでしょうか?

No.39 6点 乱鴉の島- 有栖川有栖 2019/07/17 22:10
 火村シリーズ初の「孤島モノ」です。とはいえ、孤島であるべき必然性は認めつつも、個人的には「うーん、思っていたのと違うかも」と感じちゃったりして。
 導入部も謎の提示もなかなかに魅力的なのです。作者らしいロジックも楽しめたのです。一方で、ヒトコトで言えば「地味」ということになるのでしょうか、どうにも普通な印象でしたね。いや、決して悪くないし、火村とアリスのやり取りも含めて、楽しく読ませてもらったのですが。

No.38 6点 濱地健三郎の霊なる事件簿- 有栖川有栖 2019/03/17 21:24
 「幻坂」収録短編のうち2編に登場した心霊探偵「濱地健三郎」を主役に据えた短編集。
 「ミステリの発想を怪談に移植した上で、両者の境界線において新鮮な面白さを探すこと」という、作者の目指したかったことは一定達成できたのではないでしょうか。助手役の「志摩ユリエ」の存在感もあって、前短編集とも一味違った面白味がありました。続編を希望したいですね。

No.37 6点 幻坂- 有栖川有栖 2019/03/09 23:36
 怪談話ではあるのでしょうが、怖いというよりも、むしろホロっとさせられる短編が多かったですね。抒情的な筆致もあって、自然に引き込まれました。
 何より、舞台となった「天王寺七坂」を歩いてみたくなりましたね。そのうち、この短編集を片手に訪れてみたいと思います。

No.36 7点 マレー鉄道の謎- 有栖川有栖 2018/10/14 18:21
 作者の本格愛と確たる技量を感じる作品ですね。密室の真相自体はアレだけれども、謎は決してそれだけではなく重層的だし、最後まで捻られています。伏線の配置もお見事。序盤は冗長に感じた面も正直あったのですが、事件発生後はあっさりと引き込まれましたねぇ。登場人物一人ひとりに役割を与え、決して「無駄にしない」姿勢も素晴らしいです。

No.35 6点 朱色の研究- 有栖川有栖 2018/08/19 09:59
 放火殺人事件、海岸での殺人事件、マンションでの殺人事件を組み合わせ、朱色をキーワードに巧く纏めたなぁ…という印象。
 次々とページをめくらされ、楽しめたことは間違いないのですが、読後の爽快感が何か物足りなく感じたのも事実。何故なのだろう。やはり、第二の事件の犯人の心情が、個人的にはイマイチ理解しにくかったからなのかな。

No.34 6点 ダリの繭- 有栖川有栖 2018/08/03 22:59
 有栖川作品は、心穏やかに(?)安心して読めるので好きです。今回の火村シリーズ長編も安心して読める、手堅い長編と言えると思います。
 決して派手なトリックがある訳ではないのですが、複数の容疑者を用意し、それぞれに容疑を高めつつも、一定の説明を経て圏外としていく丁寧な姿勢には好感を持ちました。(単に容疑だけ強めて、最終的に投げっぱなしにする作品も、世の中に多数ありますからねぇ…)。
【以下、微妙にネタバレっぽいかな?】
 ただ1点だけ意見を。殺意を持っていた方(ある種の真犯人)が、死体を移動させ、殺害現場を偽装できると考えていたことに強い違和感。科学捜査で簡単にばれるよねぇ。「(真犯人が)慎重さによってカバーできる自信を持っていたのだろう」というフォローだけでは弱いような気がしましたねぇ。

No.33 6点 海のある奈良に死す- 有栖川有栖 2018/07/25 20:53
 以前から、有栖川作品にしては当サイトでの評価が随分と低いなぁ…と思っておりました。むしろ読みたくなっちゃいますよねぇ。
 で、結論から言えば、個人的にはそれほど悪い印象は抱かなかったですね。確かに、2つ目の殺人については、トリック自体がアレですし、効果も疑問。また、そこまでして実行する意義も理解しがたい等々、指摘したい点は複数あります。
 一方で、全体構成としては、伝説等の絡ませ方も含めて、比較的綺麗に纏まっているのではないかと感じました。終盤の絵解きもなかなか楽しかったし、記憶に残りそうではあります。
 このサイトの平均点の低さは、有栖川作品への一般的な期待値の高さの裏返しなのであろうと、ファンとしては捉えたいと思います。

No.32 7点 スウェーデン館の謎- 有栖川有栖 2018/02/17 12:31
 正統派の本格作品。この時期に読んだのも雰囲気が出てよかった。(偶然にも2月14日に火村が現場の裏磐梯に到着する設定でしたしね。)寒い冬に雪密室、うーん、炬燵にミカンみたいなものですな。
 雪上の足跡の謎。確かにインパクトとしては弱いのだろうけれども、解決に至るロジックは相当に楽しめましたね。一方で、犯人にとっては相当にリスキーな手法ではないのか、その時点での対応策として合理的とは言い難いのではないか…といった疑問もないではありません。
 しかし、堅実かつ誠実で、リーダビリティも高い作品というのは、個人的には評価したくなりますね。

No.31 6点 幽霊刑事- 有栖川有栖 2017/10/12 23:07
 「むむ?有栖川サンっぽくない導入部だぞ」というのが、序盤の率直な感想でした。何といっても主人公が「幽霊」ですからねぇ。これはどうなの?という若干の不安も正直ありました。
 しかし、途中からグングン加速。主人公はもとより相棒の早川クンのキャラもあって、心地よく読み進められました。読者に推理させるよりも、展開をひたすら追っていく要素の方が多く(私の読み方がそうだっただけかもしれませんが…)、その意味では、確かにいつもの作風とは異なるような気がしますが、最終的には「やっぱり有栖川作品はいいよねぇ」という印象に見事に変わっていましたね。

No.30 9点 双頭の悪魔- 有栖川有栖 2016/10/23 22:10
 読者への挑戦を3段構えで配置する贅沢さ(?)ですが、それはそれで意義のあることで、極めて純度の高いフーダニットの傑作と言うべきでしょう。

 豪雨で孤立した木更村には江神とマリア、対岸の夏森村にはアリスら英都大学推理研の面々、その両村で殺人事件が…という、絶妙な設定。個人的には、木更村における江神の役回りも勿論良いのだけれども、夏森村でアリスたちがディスカッションしながら真相に迫る過程が実に楽しかったですね。
 ちょっと気になる点がない訳ではないのですが、このサイトでの評価が高いことは、素直に首肯できます。

No.29 5点 作家小説- 有栖川有栖 2016/09/19 00:11
 このサイトで採点するとなると、なかなかに微妙なのですが、ファンとしては悪くないかな。正直、文庫版解説にある「奇妙な味」とまで評せるかは別として、第一話の「書く機械」と最終話の「夢物語」は印象に残ったかな。

No.28 6点 怪しい店- 有栖川有栖 2015/03/07 18:03
 火村シリーズの短編集で、すべて何がしかの「店」をテーマにしています。「宿」をモチーフにした同趣旨の短編集「暗い宿」の姉妹編ですね。
 相変わらず、火村と有栖川の掛け合いが楽しい。ベストは、ちょっと無理筋な面がありつつも、「画になる」シーンが多々登場して印象的だった「潮騒理髪店」か。

No.27 7点 月光ゲーム- 有栖川有栖 2014/12/07 22:13
 良くも悪くも「若い」です。
 人物が多すぎる…とか,動機が何とも…とか,ダイイング・メッセージはやり過ぎだろう…等々,気になる点は少なくありません。
 とは言え,読者挑戦モノとしての気概は天晴だし,やはり読んでいてワクワクしちゃいます。七色の変化球を操る投手も好きですが,やはり直球で押すルーキーの魅力には敵わない。内角に直球を投げ込めない投手は,結局変化球も活かせないものです。
 ってことで,思い入れも入りつつ,この点数。

No.26 6点 白い兎が逃げる- 有栖川有栖 2014/10/19 23:00
 私事ですが鳥取を訪問する予定があったため,敢えてこの日程に合わせて手にした次第。
 で,表題作。あれ?鳥取自体はあまり登場しないのね…ってのは自分勝手すぎるか。でも個人的に利用機会が多い(現に今回も利用した)関西空港も舞台だったから,まぁいいか。ちなみに,この空港を利用する機会の多い人間にとっては結構わかり易いトリックだったですかねぇ。中編の長さが必要だったのか,内容的にも疑問。
 表題作よりも,「不在の証明」と「地下室の処刑」の2短編をお薦めしたいかな。

No.25 5点 菩提樹荘の殺人- 有栖川有栖 2014/08/25 23:29
 そもそも昔から火村シリーズは読み心地がよくてお気に入りなのですが,この短編集の共通テーマである「若さ」の苦さが,これまた心地よかったですね。(ちょっと強引かなぁ…と思わなくもない作品もありましたが。)
 その中でも,「探偵、青の時代」に登場する,学生・火村の立ち振る舞いが最も印象に残りそうかな。

No.24 7点 江神二郎の洞察- 有栖川有栖 2014/04/06 23:13
 アリスの大学入学からマリアの推理小説研究会入部までの1年間を舞台にした,このシリーズ初の短編集。
 一言でいえば,とても気持ちよく読めました。何とも心地よい。
 舞台が昭和から平成に移るとき…というのも,自分が四半世紀前に還ったようで,不思議な気分でしたねぇ。
 ベストは「四分間では短すぎる」。「二十世紀的誘拐」も好きなタイプ。「除夜を歩く」と「蕩尽に関する一考察」もファンとしては楽しい。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.86点   採点数: 1154件
採点の多い作家(TOP10)
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