皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ZAtoさん |
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平均点: 6.55点 | 書評数: 109件 |
No.6 | 7点 | 警官の血- 佐々木譲 | 2011/04/11 00:11 |
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エピローグでは祖父の代から受け継がれたブリキ製のホイッスルを首から提げた和也が、颯爽と犯人逮捕の現場に臨む。
惜しむらくはそれまでホイッスルにまったく物語が与えられていなかったことで、やや力づくで三代続いた戦後六十年の警官物語をまとめられたような気もしたが、このエピローグは嫌いではなかった。 |
No.5 | 4点 | 廃墟に乞う- 佐々木譲 | 2011/04/11 00:09 |
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表題作の『廃墟に乞う』が秀でているのは、傷を負う者同士の不思議な連帯を描きながら、時代論と都市論をさりげなく織り込んでいったことにあるのかもしれない。
それだからこそ、この表題作を囲んだその他の短編の凡庸さが惜しまれてならない。 |
No.4 | 6点 | 制服捜査- 佐々木譲 | 2011/04/11 00:09 |
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町に潜む巨悪を炙り出す最終話『仮装祭』が圧巻であることに異を挟む必要はないのだが、あえてミステリー色を廃して、北の果てで地道に生きようとしながらも前科者ゆえに居場所を追われる土木職人を描く『割れガラス』が、私が文庫本のパッケージから勝手に想像していた世界観に近く、印象に残る一編となった。 |
No.3 | 6点 | 警官の紋章- 佐々木譲 | 2011/04/11 00:07 |
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佐々木譲のいわんとしていることは小難しい思想信条ではなく、権力を戴く者はプロフェッショナルとしてのプライドと意地を持てということに過ぎない。単に組織のヒエラルキーを批判するだけの作家ならば、そもそもこの作品は成立しない。
プロとしてのプライドを持つ警察官であるならば、キャリアの監察官であっても英雄として描くことをまったく厭わないのだ。 ここでいう「紋章」とは単なるバッジや身分ではなく、警察官としてあるべきプロ意識、プライド、意地、頭脳、勇気、正義の総称なのだろう。今野敏が創造した竜崎伸也ならばここに「原理・原則」が加わるのかもしれないが。 |
No.2 | 8点 | 警察庁から来た男- 佐々木譲 | 2011/04/11 00:04 |
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強大な権力を持つ警察機構のここまでの腐敗を読まされると極端な警察不信に陥るかといえばそうでもなく、むしろ、フィクションとはいえ、こういう本が普通に店頭に平積みされて広く愛読さる自由を喜ぶべきなのだという逆説も成り立つではないか。 |
No.1 | 4点 | 笑う警官- 佐々木譲 | 2011/04/11 00:02 |
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一読して思ったのは「安直だったな」ということ。
佐々木譲という作家の名前を私の中で必要以上に肥大させすぎてしまったのかもしれない。 あるいは「警察小説」というジャンルに確固たるルーティンを求めすぎていたのかもしれない。 どちらにしても読後には失望感が残った。 |