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E-BANKERさん
平均点: 6.01点 書評数: 1785件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 7点 華麗なる誘拐- 西村京太郎 2009/08/20 22:51
私立探偵左門字シリーズ。
本シリーズは「誘拐もの」のバリエーションが豊富ですが、本作も大胆不敵なプロットが特徴。
~「日本国民全員を誘拐した。身代金5,000億円を支払え」・・・首相官邸に入った1本の電話。『蒼き獅子たち』と名乗った男は、3日後に人質を殺すと通告した。果たして、新宿の喫茶店で若い男女が死亡した。死因はシュガーポットに混入された青酸カリによる中毒死。偶然現場に居合わせた私立探偵・左門字進と妻の史子は、捜査へ協力することに。だが、警察をあざ笑うかのように北海道で男が殺され、ついには航空機爆破事件まで起きてしまう! 犯人の狙いとは何なのか?~

やっぱり、初期の作品はよくできてます。何よりプロットが素晴らしい。
こんなプロットは最初にやったもん勝ちで、2度と同じものは使えないですからねぇー
途中、犯人グループと左門字の知恵比べ的な展開もかなり面白い。
大胆不敵な犯行に打つ手なしと思われた矢先、左門字の冷静沈着な推理が冴え渡る・・・結構シビレます。
中盤以降はスピーディーな展開で、飽きることなくラストまで一気呵成!
十分に楽しめる作品でしょう。
(姉妹編に短編ですが、「1千万人誘拐計画」という作品もあります。こちらは東京都民全員が誘拐されちゃいます。)

No.1 7点 盗まれた都市- 西村京太郎 2009/07/30 22:32
私立探偵、左門字進シリーズ。
日米ハーフの名探偵左門字が活躍するシリーズは、作者初期の野心溢れる良質な作品が並んでいます。
人口10万人のある地方都市が、ある日を境に突如「反東京」という狂気に支配されてしまう。その謎を解明すべく乗り込んだ左門字夫妻は、たちまち狂気に巻き込まれ、あげくの果てには殺人事件の容疑者にされてしまう。さて、この「狂気」の正体は何か? というのが本作の粗筋。
何はともあれ、この「プロット」自体がたいへんによくできており、面白い。
左門字もこの理不尽な狂気に巻き込まれるわけですが、それに対して冷静にかつ鋭い観察&推理力で対抗する姿に何ともいえない魅力を感じてしまいます。
真相は、意外といえば意外で、想定内といえば想定内(どっちだ?)。
現実的に考えて、マスコミはともかく市民感情をここまでコントロールできるのか? という疑問は湧くのですが、ナチズムの例を出すまでもなく、人間とは「より声の大きい方」へ流されてしまう特徴があるのでしょうし、特に日本人はその危険性がより大きいような気はします。
まぁ、昨今溢れてる作者のトラベルミステリーとは一味も二味も違う作品ですし、一読に値すると言ってよいでしょう。
(マスコミの功罪って大きいですよねぇ・・・本作を読んで、まず感じるのはこのこと。マスコミの良心ってなんなんでしょうか?)

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E-BANKERさん
ひとこと
好きな作家
島田荘司、折原一、池井戸潤などなど
採点傾向
平均点: 6.01点   採点数: 1785件
採点の多い作家(TOP10)
島田荘司(72)
折原一(54)
西村京太郎(42)
アガサ・クリスティー(37)
池井戸潤(35)
森博嗣(32)
東野圭吾(31)
伊坂幸太郎(30)
エラリイ・クイーン(30)
大沢在昌(26)