皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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miniさん |
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平均点: 5.97点 | 書評数: 728件 |
No.8 | 6点 | 聖女の遺骨求む- エリス・ピーターズ | 2013/08/06 10:01 |
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* 1913年生まれ、つまり今年が生誕100周年にあたる作家を漁る、その第1弾エリス・ピーターズの4冊目
大河歴史ミステリー修道士カドフェルシリーズの第1作目が「聖女の遺骨求む」である しかし実はこの第1作目はシリーズ入門にはあまり適していない 第2作目「死体が多すぎる」以降ではスティーヴン王と女帝モードとの抗争が中心的時代背景になっているのだが、この第1作目だけはそうではないのだ さらにはシリーズを通じてカドフェルの盟友として活躍するヒュー・べリンガーが初登場するのも第2作目である つまり第1作目「聖女の遺骨求む」はどちらかと言えばシリーズ番外編的性質の作なのであって、しかも宗教談議に終始する内容など初めてシリーズに接する読者には分り難い面が有る このシリーズを最初に読むのなら「聖女の遺骨求む」は後回しにして、まず2作目から入るのを私はお薦めしたい、「死体が多すぎる」の方が冒険アクションシーンもあったりで楽しめるしね ただし話題の関連的にはシリーズ中期の「憎しみの巡礼」の前までには読んでおいた方がいいかも知れない、でも第1作目は読まないままでもあまり差し支えは無い、他のシリーズ作とは直接には話が繋がってないしな 私が読んだ範囲ではこのシリーズは大きく分けて3つタイプが有ると思う 1つ目はいかにも大河歴史ロマン的で戦闘シーンなども満載な動的なタイプ、上に挙げた「死体が多すぎる」や「氷のなかの処女」「死者の身代金」などがそう 2つ目は民間の事件を中心に据えた比較的に地味で静的な話で普通の本格派っぽいもの、「死を呼ぶ婚礼」などもそうだが中でも「聖域の雀」はその典型 3つ目が特に宗教的要素の強いもので前回書評した「憎しみの巡礼」もそうだがシリーズ第1作「聖女の遺骨求む」はまさにこのタイプである |
No.7 | 6点 | 憎しみの巡礼- エリス・ピーターズ | 2013/08/02 09:58 |
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* 1913年生まれ、つまり今年が生誕100周年にあたる作家を漁る、その第1弾エリス・ピーターズの3冊目
今回も前作に引き続いてスティーヴン王と女帝モードとの抗争が大きく影響する話になっている スティーヴン王はまだ幽閉状態で、女帝モードはロンドン入城も間近な情勢で戴冠式の為にロンドン市民を説得中である 女帝モード側の諸侯の部下が使者としてシュールズベリにやってきたが、その人物とは?「氷のなかの処女」で初登場したあの人物なのだ 前作「死者の身代金」では「死を呼ぶ婚礼」に登場したあの修道女が再登場したりと、シリーズの展開も面白くなってきたぞ、前作あたりからシリーズも充実期に入ってきたようだ この「憎しみの巡礼」では解説にもあるが、いろいろな事件が小出しに起きて前半は何がメインの事件なのかはっきりせず、それらが終盤にどのように結び付いて収束するのかという、シリーズの中ではちょっと変わったパターンだ 少々残念なのはネタバレ気味の題名もあって、なんとなくこういう真相なのでは?と読者も予想し易い 前作「死者の身代金」の出来が良過ぎたので比較するとこの位の点数かなぁ ところで「憎しみの巡礼」には奇跡を起こす聖女の遺骨の話が中心テーマになっているが、これはシリーズ第1作「聖女の遺骨求む」のあの遺骨なのだ したがってシリーズ第10作目「憎しみの巡礼」を読む前に1作目「聖女の遺骨求む」と6作目「氷のなかの処女」は読んでおく必要が有る 「聖女の遺骨求む」はシリーズ第1作目ではあるが、話の流れ的には後回しでもいいと私は再三言ってきたが、この「憎しみの巡礼」だけは別、この作までには第1作目も先に読むべきだ |
No.6 | 8点 | 死者の身代金- エリス・ピーターズ | 2013/04/09 09:59 |
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* 1913年生まれ、今年が生誕100周年作家を漁る、その第1弾エリス・ピーターズの2冊目
さて修道士カドフェルシリーズを読むのも中盤戦に入ってきた 前回読んだ「聖域の雀」では、歴史的背景が殆ど関わりがなく比較的に平和な時期に起きた民間の事件を扱っていた だから「聖域の雀」はミステリーとしてはシリーズ中でも普通の本格派色が強かった しかしこの次々作「死者の身代金」からは再び戦争の影響に翻弄されてくる スティーヴン王が捕らえられ、女帝モード側が有利と見たウェールズの一部豪族達が動き出したのだ 一応はスティーブン王側のシュールズベリ一帯でも不穏な空気が広がる 今回はシリーズ中でも一種のターニングポイントのような作で、州執行長官が大変な事態になるわ、「死を呼ぶ婚礼」にも登場したあのしっかり者の修道女が再登場するわ、盟友ヒュー・べリンガーは執行副長官の立場上てんてこ舞いだわ、とにかくサービス満点な力作 ほろ苦い真相の謎解き面でも優れており、シリーズ最高傑作の1つと言って良いだろう あっ、でも初めて修道士カドフェルを読もうと思った貴方、これを最初に読んじゃいけませんよ、少なくとも「死体が多すぎる」と「死を呼ぶ婚礼」は前もって読んでおかなくては |
No.5 | 7点 | 納骨堂の多すぎた死体- エリス・ピーターズ | 2013/01/08 09:56 |
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昨年2012年が生誕100周年の作家は数多くて生年に関しては当たり年って感じだったが、今年2013年と来年に生誕100周年を迎える作家は非常に少なく2年続けての少数派となりそうだ
今年の私的読書テーマ、”生誕100周年作家を漁る”、第1弾はエリス・ピーターズだ エリス・ピーターズと言えば言うまでも無く”修道士カドフェル”だが、カドフェルシリーズを書き出す以前の作者を代表するもう1つのシリーズがフェルス一家シリーズだ しかしカドフェルが軌道に乗るとフェルス一家シリーズは永遠に中断したままになってしまったのである、これは大変に残念なことだと今回初めてフェルス一家シリーズを読んで思った 何と言っても登場人物達が活き活きと活写されているのが良い、この人物描写の見事さは後のカドフェルシリーズを彷彿とされる、まぁ晴天下のフェルス一家、曇天下のカドフェルという雰囲気の違いは有るが、個人的にはカドフェルのちょっと暗い雰囲気の方が好きなんだけどね しかし上記で述べた活き活きした登場人物、謎解き面での見事さ、総合的に見てフェルス一家も全く遜色ない 強いて注文を付ければ、納骨堂と海岸線など周辺の地理的位置関係が若干分り難いので、略地図を付けてくれるとより良かったかな |
No.4 | 6点 | 死体が多すぎる- エリス・ピーターズ | 2013/01/08 09:55 |
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* これは過去に書評済だが一旦削除して再登録(^_^;)
今年はエリス・ピーターズ生誕100周年である 修道士カドフェルシリーズ第2作 はっきり言って本格としての魅力は薄く、ひたすら物語に浸るという読み方が正しいシリーズで、作者も謎にこだわることなく、どんどんと物語を進めていく こういった話の進めかたが苦手で謎の吟味に頁数を割いて欲しいタイプの本格主義読者には全く合わないが、物語中心の本格というのもありだと思う、これが作者の持ち味なんだろう シリーズ第1作「聖女の遺骨求む」は後続の作品群とはやや異質なので最初に読むならこの第2作「死体が多すぎる」から入門するのがベストな選択 後のライヴァルであり盟友のヒュー・べリンガーが初登場でもあるし ただし第2作目以降の作では、スティーヴン王と女帝モードとの12世紀イングランド内乱という歴史的背景は基礎知識として持っている必要がある、まぁこの辺は解説に概要が書かれているが ところで死体が多過ぎる謎は帰結であって発端なのは逆だ、みたいな事を言う書評も某有名掲示板で見た事が有るが全く賛成出来ない そんな事を言うのは、チェスタトンの某有名な短編ネタの発想であろうが、それは視点を間違えている 死体が多過ぎるのは真相ネタでは決してなく、あくまでもカドフェルが事件に関わるきっかけだからこれでいいのだ |
No.3 | 6点 | 死を呼ぶ婚礼- エリス・ピーターズ | 2011/11/11 09:52 |
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修道士カドフェルシリーズ第2作「死体が多すぎる」が盟友ヒュー・べリンガーが初登場するなどシリーズの方向性の出発点だったとすれば、この第5作目「死を呼ぶ婚礼」はその方向性を確定した作と言えるだろう
まさにシリーズの王道パターン、これを読めば修道士カドフェルシリーズがどんなものか分り易い作だ 少なくともシリーズ第1作「聖女の遺骨求む」だけは後続のシリーズ作品とは傾向が違うし話が直接は繋がってないので後回しにする方が良い 歴史的背景の要素がかなり強かった「死体が多すぎる」に比べると、「死を呼ぶ婚礼」は基本的には普通の謎解き本格なので歴史ミステリーが苦手な人が読んでも大丈夫なんじゃないかな ただしミステリー読者なら犯人の目星は付いてしまうだろうけど 謎の女性エイヴィスがいい味出している |
No.2 | 4点 | 聖域の雀- エリス・ピーターズ | 2009/05/08 10:09 |
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前作「氷のなかの処女」は厳寒の真冬の話だったが、5月になって修道院周辺も政治的紛争が小休止して比較的平和な日が続いていた
「聖域の雀」はそんな時期に起きた地味な民間の事件を扱う 前作「氷のなかの処女」が戦闘シーンを満載した冒険活劇要素の強い話だったのに比べて、「聖域の雀」ではそんな派手な活劇場面は極めて少なく、読んだシリーズの中では最も普通の謎解き本格の趣である まさに動の「氷のなかの処女」、静の「聖域の雀」だ だからシリーズ中でも「聖域の雀」は、アクションシーンとか冒険小説要素がちょっとでも入るのを嫌がるような本格派しか読みません的な読者には合うと思う しかしシリーズらしい魅力に欠け、私には全然面白く無かった、プロット上もちょっと終盤を引っ張り過ぎてるし シリーズ中でもワースト3級のつまらなさだった |
No.1 | 7点 | 氷のなかの処女- エリス・ピーターズ | 2009/01/06 11:00 |
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寒さも厳しき折、真冬を舞台にした寒そうな題名の話を
読んだ中ではシリーズ中最も本格色が薄く、冒険活劇色が濃厚な話である 盟友ヒュー・べリンガーもそこそこ出番はあるが、なんと言ってもヒーローは後半に登場する謎の人物だろう この謎の人物の正体をネタバレするのは話の根幹に関わるし、物語全体の興趣を著しく削ぐので明かせないが、要するに最初からこれの登場を書きたかったわけね こいつ後のシリーズでも活躍するのかな |