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miniさん
平均点: 5.97点 書評数: 728件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.3 7点 死の猟犬- アガサ・クリスティー 2010/01/25 10:09
本日発売の早川ミステリマガジン3月号の特集は”犬も歩けば謎に当たる”
やはり”犬”も入れとかないとね

でも作中には具体的に犬が出てこないんだよな(苦笑)
特定の探偵役が出てこない非シリーズ短編集『死の猟犬』は、次の2つの理由で有名である
1つは名作と言われる短編「検察側の証人」が含まれていることで、戯曲の1巻としてクリスティ全集にも入っているが、普通の短編としてはこの短編集の収録作なのだ
もう1つは、この短編集が全体としてホラー中心の短編集であることだ
その為か「検察側の証人」1篇がこの短編集の中で浮いてしまっている感も有り、別の短編集に収録しても良かったんじゃないかという気もする
ただ内容ではなく探偵役による分類だと、初中期の短編集は探偵役別の短編集が中心だったりで、ノンシリーズ短編を収めるとなると適した短編集が他に『リスタデール卿』くらいしか見当たらず仕方なかったかも知れない

クリスティは意外と非本格のホラー短編が上手く、中期の短編は別だが初期のポアロものの短編群の質を考えたら、ホラーの方が質が高いとさえ言える
きっちり謎が解かれて終わらないと気がすまない本格偏愛読者には合わないかも知れないが、相性は読者側の問題であって作品の質とは無関係だ
私は異色作家短篇集なども読むので全然無問題
ホラーは本格より格下などと思い込むような狭量な視点は持ちたくないものである

No.2 2点 予告殺人- アガサ・クリスティー 2008/11/02 11:10
戦後のクリスティ長編はマープルものがポアロものと互角以上の評価をされているが「予告殺人」はつまらなかった
マープルもの長編の代表作みたいに言われるが過大評価だろう
序盤の殺人予告のセンセーションだが、実は全国紙ではなくて限られた範囲の地方ミニローカル新聞なので大して盛り上がるような話ではない
犯人の設定も真相の切れ味も、いつものクリスティの平均レベルで、なぜ評価が高いのか首を傾げてしまう
一番陳腐なのが、終盤にマープルが犯人に罠を仕掛ける場面があるが、昔ながらの手法をそのまま使ったような感じで、新味も工夫も無い
江戸川乱歩が褒めたのがへんな過大評価の理由なんだろうか?
マープルもの長編としては「鏡は横にひび割れて」の方が断然上だと思う

No.1 8点 鏡は横にひび割れて- アガサ・クリスティー 2008/11/02 10:51
「火曜クラブ」は短編集だから別格とすると、ミス・マープルものの長編代表作は一般に「予告殺人」と言われているが賛成できない
マープルもの長編の代表作の1つと思うのが「鏡は横にひび割れて」なのである
「鏡」は動機が謎の中心で、動機と犯人が不可分なので動機が分かれば即犯人も分かる
読者によってはこうしたホワイダニットだけに特化したを好まないかもしれないが、好みの問題と動機の真相が優れているかどうかは全く別の問題であって、ホワイダニット型だから好きじゃないと言うのは個々の嗜好だから仕方が無いが、動機の真相が優れているのなら積極的に評価したい
「鏡」の動機は謎解きとしても素晴らしいもので、人間心理の洞察とも言える余韻と深みがあり、ホワイダニット型の最高峰と言ってもいい

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