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シュウさん
平均点: 6.78点 書評数: 141件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.7 9点 グラン・ギニョール城- 芦辺拓 2008/12/12 22:50
海外の某大物作家のパスティーシュとなっている1930年代のヨーロッパを舞台にした作中作と、現代の森江春策の冒険が交差する
個人的にどストライクな作品です。作中作がクイーン編集の「ミステリー・リーグ」の廃刊によって解決編が幻となった作品という設定にもロマンを感じます。
自分のような古き良き探偵小説好きとしてはたまらない雰囲気を持った作品です。

ただ作中作の魅力的ではあるけど無理がありすぎるトリックにちょっと疑問が残ったのですが、これはその某作家のイメージに
合わせたものなのか、それとも強引なメタ構造の弊害によるものなのかがちょっと判別できませんでした。パスティーシュとして
トリックの強引性まで再現したのなら文句なしの10点なのですがそうでないのなら8点といったところで、間をとって9点にしておきます。

No.6 5点 探偵宣言- 芦辺拓 2008/12/05 20:38
初期の作品を集めた連作短編集ということで全体的に小粒な内容ではあったのですが、
特に「殺人喜劇のXY」が最初期の作品ということもあってか、とんでもなく読みにくく、内容が頭に入ってこない上に分量があり、
解決編も面白くないので非常に退屈でした。最後の「殺人喜劇の森江春策」もそれほど大した仕掛けがなくちょっと期待はずれだったかな。
やはり芦辺拓は2000年前後あたりから急成長した作家だったんだなと再確認しました。

しかし毒入りチョコレート事件のパロディで芦辺オールスター総出演の「殺人喜劇のC6H5NO2」や、バカミス寸前な真相が楽しい「殺人喜劇の鳥人伝説」など
読んで損はない作品もありますし、「殺人喜劇の迷い家伝説」の駄洒落刑事にも楽しませてもらいました。
つくづく「殺人喜劇のXY」さえもっと読みやすく書き直してくれれば読後の印象が変わったのにと思わずにはいられません。

No.5 8点 真説ルパン対ホームズ- 芦辺拓 2008/11/13 00:53
色々な名探偵が登場するパスティーシュ作品集の一作目です。面白いんですがネタバレしないで感想書くのがつらい短編が多いです(笑)

「真説ルパン対ホームズ」 この2人の競演というだけで楽しいのでトリックとかどうでも良くなってしまいます。チョイ役で夏目漱石も出てきます。
「大君殺人事件 またはポーランド鉛硝子の謎」 ファイロ・ヴァンスをはじめとして複数の探偵が集まる豪華な話です。ネロ・ウルフとか思考機械という探偵たちは初めて知りましたが。最後のサプライズはタイトルでバレバレなはずなのに気が付きませんでした。
「《ホテル・ミカド》の殺人」 これも複数の探偵が登場する話でチャーリー・チャンとかサム・スペードとか出てきますが初めて聞く名前でした。事件の真相がかなり分かりやすいのでこんなに多くの探偵が出てこなくてもと思ってしまいます。
「黄昏の怪人たち」 この本で一番楽しめました。芦辺拓はやっぱり乱歩の世界が一番合ってると思う。
「田所警部に花束を」 鮎川哲也ファンならかなり楽しめる作品だと思います。自分としてはあまり読んでないのでそれほどでもありませんでした。しかしこの密室トリックは酷いなあ。
「七つの心を持つ探偵」 まあオチは予想通りでしたがとにかく楽しいです。
「探偵奇譚 空中の賊」 黒岩涙香を真似た明治時代風の文体があまりに読みにくいので挫折しました。内容的にはすごく面白そうなんだけどなあ。
「百六十年の密室――新・モルグ街の殺人」 モルグ街の殺人の犯人は冤罪だった!という内容です。モルグ街は未読だったんですが思い切りネタバレ見ちゃいました。まあどうせ当分読まないだろうからいいや。

No.4 8点 赤死病の館の殺人- 芦辺拓 2008/11/04 00:43
実は表紙がちょっと不気味でずっと積んでたんですが、いざ読んでみたらかなり面白い短編集でした。

「赤死病の館の殺人」 まあ確かにトリックはあんまりですが、古き良き探偵小説好きな自分としてはポーの赤死病の仮面を彷彿させる世界観で新島ともかがメインな話というだけで満足です。ただ長編ならもっと隙のない面白い話になったのかなと思うと少し残念。
「疾走するジョーカー」 犯人がまるで我孫子武丸の作品に出てきそうな感じのサイコさんで怖いです。
「深津警部の不吉な赴任」 ちょっとアレな感じのオチはともかく全体的にユーモア溢れる話で本書で一番好きな作品です。
「密室の鬼」 なんか電波っぽい博士が登場したあたりからごちゃごちゃしてきて訳分からなくなってしまった。森江春策の出番も最後の方だけだしあまり好きな話ではなかったです。

No.3 9点 明智小五郎対金田一耕助- 芦辺拓 2008/11/01 01:10
もう大好きです。パスティーシュは今作で一応のピリオドとか言わないでもっと書いて欲しいんだけどなあ。

「明智小五郎対金田一耕助」 金田一ワールド、明智ワールドの融合という感じで非常に楽しく読めました。海野十三の蝿男という作品の粗筋がちょっと書かれてたんですがすごく面白そうだ。これはいつか読んでみたいな。
「フレンチ警部と雷鳴の城」 実はクロフツもカーも読んだことないのですが楽しく読めました。フレンチ警部の奥さんがいい味出てたんだけど原作もこうなのかな?トリックがなんか凄くて唖然としました。
「ブラウン神父の日本趣味」 実はブラウン神父読んだことないですが楽しく読めました。これもオチが凄いです。
「そしてオリエント急行から誰もいなくなった」 オリエント急行の殺人の後日談みたいな作品ですがなんか辛口。
「Qの悲劇 または二人の黒覆面の冒険」 作家エラリイ・クイーンを主人公にした話だけどこれはイマイチ楽しめなかった。
「探偵映画の夜」 探偵映画の薀蓄が楽しかった。
「少年は怪人を夢見る」 乱歩の某キャラの誕生秘話を乱歩の他作品と絡めながら書く話でこの本で一番面白かったです。

No.2 7点 不思議の国のアリバイ- 芦辺拓 2008/10/09 23:17
アリバイ崩し系は苦手なんですが、これは楽しく読めました。映画の話より新島ともか初登場の場面の方が印象的です。
地名のトリックは作中の舞台に土地勘がない自分としてはちょっと分かりにくかったです。
オチでちょっと納得できない所もあったんですが、ハッピーエンドだしまあいいか。

No.1 9点 怪人対名探偵- 芦辺拓 2008/09/24 16:10
乱歩趣味全開で乱歩ファンの自分としてはかなり楽しく読みました。
犯人は確かに分かりやすいですが乱歩の通俗長編だって犯人バレバレなのが多いし問題ないですw
章題が乱歩の長編の章題から取られているのでそのあたりを照らし合わせてみるだけでもかなり楽しいです。

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シュウさん
ひとこと
自分の場合書評というよりも読んだ本の感想のような文章しか書けないです。すみません。
好きな作家
横溝正史、江戸川乱歩、我孫子武丸、芦辺拓
採点傾向
平均点: 6.78点   採点数: 141件
採点の多い作家(TOP10)
横溝正史(18)
我孫子武丸(13)
江戸川乱歩(12)
太田忠司(12)
綾辻行人(7)
芦辺拓(7)
有栖川有栖(5)
岡嶋二人(4)
島田荘司(4)
山口雅也(4)