皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
Akiraさん |
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平均点: 7.50点 | 書評数: 8件 |
No.8 | 6点 | 月光ゲーム- 有栖川有栖 | 2008/04/05 23:10 |
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登場人物である、アリス青年の視点で物語が進展してゆくため、口語体が使用されていることが、特徴のひとつ。そのため、少しくだけた表現が多用されている。文章自体、読み手を選ぶ可能性がある。
肝心の中身は、「火山灰が積もる土地で、地面に落ちたマッチを一本も洩らさず拾い上げる」など、かなり苦しい展開が目立つが、それでも本格物と呼べる出来栄え。手品じみたトリックを破るのではなく、状況ごとに探偵の推理をしないと真相に近づけない展開は見事。ただ、読者に初めての衝撃を与えるような独創性、独自性が不足している気がする。 |
No.7 | 9点 | Yの悲劇- エラリイ・クイーン | 2008/04/05 22:50 |
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申すに及ばず、日本で最も有名な海外ミステリのひとつ。探偵の推理がなんたるかを体現した、本格の中の本格という作品。しらばっくれる怪しげな住民達(登場人物)も個性豊かで面白い。国内ミステリを読むと、多くの作家が、エラリィ作品の推理を(かなり)参考にしていることがわかる。本格物のお手本のような作品。また、文章表現が秀逸で、特に、短いやりとりだったが、なかなか真相に近づけない捜査の進捗を、トロイの木馬で例えた表現が美しかった。
ただ、探偵の推理があまりにも詳しすぎる、それに、殺人現場、実験室と同じ舞台を何度も往復するため、文章が長く、正直読みづらかった。 国内の代表的なミステリを30冊くらい読んだ後、Yの悲劇を読むと、この作品の日本人作家に与えた影響がどれ程のものだったのかよくわかるかもしれない。 |
No.6 | 8点 | 十角館の殺人- 綾辻行人 | 2008/03/29 00:49 |
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私が、ミステリを初めて読む人に、何か薦めるとしたら、まず間違いなくこの作品を薦めることになる。不可解な文章構成なのに一つの結果にたどり着く、犯人の意外性、トリック、追い詰められた人間の心理描写、テレビや漫画ではない、文学ならではの面白さ、探偵の活躍と、ミステリの醍醐味が十分濃縮された、言わずと知れた名作。だいたい、あの予告カードがでてくる頃から、寝る間が惜しくなってくる人が多いのでは(私がそうだった)。
それと、「そして誰もいなくなった」を後(または前)に読むと、それぞれの面白さがきっと倍増するはず。 |
No.5 | 8点 | 殺戮にいたる病- 我孫子武丸 | 2008/03/29 00:20 |
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初めから犯人が判明しているためか、死体の状態より、殺害手順が克明に描かれている。そのため、気持ち悪い内容になっている。それでも所詮小説だと思い(無論、小説、小説家、読者を卑下する意味ではない)、我慢して一読する価値のある作品。そして、最後のわずか数行で全ての真相が明かされ、多くの読者(私も含む)は驚愕することになる。それから、この作品が名作であることに気づく。
それでも、中には、この作品の真相を見破ることができる読者がいると思う。しかし、この作品については、逆に真相を見破れる人が、かわいそうな気もする。 |
No.4 | 8点 | 占星術殺人事件- 島田荘司 | 2008/03/28 23:58 |
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おおよそ十年前、私が、とある有名推理漫画を読んでこのトリックを初めて知ったとき、原案者は不世出の天才だと、心から感嘆したことをよく覚えている。その漫画の連載が始まってから、かなり早い段階でそのトリックが使われたので、私はその漫画のことがとても気に入り、結局定期連載が終了するまでその漫画を読み続けることになる。
かなり極端な意見だが、占星術殺人事件を読めば、あの推理漫画が、現在でも爆発的な人気を誇る理由がわかるかもしれない。 |
No.3 | 10点 | そして誰もいなくなった- アガサ・クリスティー | 2008/03/24 01:30 |
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海外ミステリはあまり読まないが、この作品は別格だと個人的に思っている。というより、(あくまで私個人の話だが)国内国外問わず、未だにこの作品を超える作品を見たことがない。
登場人物、人間の心理描写、恐怖感、見立て、動機、トリック、簡潔にまとまった文章構成、内容、いずれも文句のつけようがない。 日本が、国をあげて、戦車を輸入したり、他国を侵略したりしている時代に、離れ小島にバカンスしに行く話を作成していることを考えると、脱帽してしまった。 |
No.2 | 4点 | 迷路館の殺人- 綾辻行人 | 2008/03/24 00:56 |
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迷路館の見取り図を見た瞬間、この作品は絶対に面白いと思った。この入り組んだ館の構造を駆使して、どのような殺人が起きるのだろうか!?島田潔をはじめとした役者は皆個性的で、怪しげな住民は、十分迷路館に集まっている!あとは盛り上がるだけだ…と、かなり期待してさくさく読んでしまった。
そのためか、トリックがわかって愕然としてしまった。密室の謎さえしっかりしていれば、名作になりえたのに、残念でしかたない。期待しすぎたというのもあるが、この作品を読むなら、中古で購入した方がいいと、個人的に思う。 |
No.1 | 7点 | 時計館の殺人- 綾辻行人 | 2008/03/24 00:26 |
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全体の4分の3も読めば、多くの人が犯人、トリックを推理することができると思う。そのような、読者に対する配慮、文章構成は、さすが綾辻先生。また、犯人の殺戮に至る動機の強さや、死に直面する人間の心理描写、読者を思わず緊張させてしまうサスペンス性は、十角館以上だと、個人的に思っている。
ただ、明らかに意味を持たせた伏線が多く、そのため、必要以上に分量がある気がする。それと、館シリーズでおなじみの中村青司の設計した建物だから…というのは勘弁してもらいたい。 |