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[ 時代・捕物帳/歴史ミステリ ] 一九三四年冬―乱歩 |
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久世光彦 | 出版月: 1993年12月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 2件 |
集英社 1993年12月 |
新潮社 1997年01月 |
東京創元社 2013年01月 |
No.2 | 7点 | メルカトル | 2023/04/26 22:43 |
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執筆に行き詰まり、衝動に任せて麻布の長期滞在用ホテルに身を隠した探偵小説界の巨匠・江戸川乱歩。だが、初期の作風に立ち戻った「梔子姫」に着手したとたん、嘘のように筆は走りはじめる。しかし小説に書いた人物が真夜中に姿を現し、無人の隣室からは人の気配が…。耽美的な作風で読書人を虜にした名文家による、虚実入り乱れる妖の迷宮的探偵小説。山本周五郎賞受賞作。
『BOOK』データベースより。 大袈裟に言えば乱歩の全てを知った気になれる作品です。勿論そんな訳はないんですが、少なくとも乱歩に関する人となりや氏の残した業績、人間関係などはよく調べて描かれているのではないかと思います。知り合いでも研究者でもない私がこう書くのもおこがましいですが。禿にコンプレックスを抱くあまり、ある作品の登場人物秀ちゃんを誤植で禿ちゃんとなっていたのに激怒したり、異国の人妻にエロスを感じたりする乱歩は物凄く人間臭く、巨人としての乱歩ではなくあくまで一個人として生々しく描写されているのは評価できる点だと思います。また、渡辺温、小酒井不木、水谷準、横溝正史、永井荷風らの名前が出て来るのもオールドファンには嬉しい所じゃないでしょうか。 そしてそれよりも何よりも作中作の『梔子姫』が素晴らしい。本当に乱歩が描いたようのではないかと錯覚する程、筆致も似ておりこれだけでも高評価を捧げるのに吝かではないと感じます。ここに登場する口の利けない娘に主人公がのめり込んでいく過程はとても共感できますし、エロが苦手な方でも甘美な白昼夢を見る事必至でしょう。憐れで悲しく辛い境遇におかれても、生きたいと願う梔子姫が健気過ぎて泣けてきます。 |
No.1 | 4点 | ドクターマッコい | 2013/09/04 07:50 |
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乱歩のことを大変緻密に調べ上げ彼の作風で「梔子姫」と言う物語を入れ込んだ非常に内容の濃い作品でしたが、少し重すぎました。乱歩のエロティシズム等、描写の点からは素晴らしいと思います。 |