皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 時代・捕物帳/歴史ミステリ ] 黄金流砂 |
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| 中津文彦 | 出版月: 1982年09月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 2件 |
![]() 講談社 1982年09月 |
![]() 講談社 1984年08月 |
![]() 講談社 2002年09月 |
| No.2 | 5点 | 斎藤警部 | 2026/05/13 23:27 |
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| よく喋る男は、狂言回しか、容疑者か、両方か。
「いや、◯◯◯そのものではなく、それによって◯◯◯◯◯◯、という意味ですよ」 ← 最後の◯◯二文字に傍点 第一の被害者は、盛岡を訪れていた日本史の教授。 専門とする古代奥州史と、殺人事件との繋がりが匂わされる。 周囲には学問上の、或いは他の理由から(?)彼への恨みや反感を抱く者が幾人もいた。 もろ二サス風軟いミステリ進行への甘い寄り掛かりは、第二の殺人の鮮烈な意外性によって破られた。 更にその思わせぶりな謎が深い。 と期待したのだが呆気なく 。。。 いやいや、ふつふつと沸き上がったミステリ興味はそうそうたやすく鎮まりはしませんでした。 捜査側(主に新聞記者と学校教師)の主役収束が緩いせいか、小説内情報開示・把握の時系列に妙な乱れが生じ、どうも情報俯瞰図が見えづらい流れが所々あります。 ですがこの遠距離バックパス連鎖の感覚こそ、本作ならではの独特な味と言えるかも知れません。 うん、ここは本作の得難い美点として珍重したいと思います。 タイトルが暗示する古代奥州の “或る重大要素” と現代の連続殺人事件とが聯関する構造は思った以上に有機的でドスッと来ました。 意外な◯◯を媒介とする暗号の存在とその読解にも相当の訴求力がありました。 が、読了してみると、何とも口惜しい、詰込み諸要素のバランス悪い押し合い圧し合いが強い印象として残ってしまいます。 空さんの仰る > 前半の地味な展開を最後まで続けてもらいたかったように思いました。 には私も同感です。 ずっと完成度の高い、渋い作品になれたのではないでしょうか。 堅実に追い詰めるかと見えた、地味ながら知的スリルに訴えるアリバイトリック破りは、最後の所で唐突にアレッて感じです。 人間ドラマに歴史ドラマもそれぞれ明後日や一昨日の方向に行っちゃって、、 本格ミステリとしてはまだともかく、小説として収拾が付いていないと思われます。 「八百八十通りもの組み合わせがあるんだそうですよ」 巡り巡って最後はやはり、ニサス流儀に戻って来たのかと思ったら ・・・・ 八方丸く収める(?)手段が無理矢理かつなかなかに不謹慎。 悪い唸りが出ました。 ん~だども面白いことは面白い。 その面白さが勝って、四捨五入で5点は5点でも5.3超の堂々合格点を献上しようと思うのです。 |
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| No.1 | 5点 | 空 | 2014/01/04 15:59 |
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| 高木彬光の『成吉思汗の秘密』でも扱われていた、源義経は平泉では死んでいなかったという言い伝えの紹介から始まるミステリです。盛岡で起こった歴史学者殺害事件を、新米新聞記者と、その学者の弟子だった高校教師が探っていきますが、義経北行説よりもむしろ、義経を匿った藤原家にまつわる歴史的謎の方が、現在の殺人事件と重要なつながりを持ってきます。
第28回乱歩賞を岡嶋二人の『焦茶色のパステル』と分け合った作品。前半が退屈だという審査員の意見もありますが、個人的にはむしろ前半の地味な展開を最後まで続けてもらいたかったように思いました。半ばで藤原家関係の、判読不能文字文書が出てきてからは、高木彬光のような歴史考証から虚構世界に移行していき、最後の現在の事件の全貌が明かされるシーンは、もう伝奇冒険小説と言ってもいいほどです。全体的なバランスを失していると思えます。 |
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