海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 社会派 ]
二重裁判
小杉健治 出版月: 1986年06月 平均: 7.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


廣済堂
1986年06月

集英社
1991年04月

No.1 7点 こう 2008/09/14 02:52
 日本では珍しい弁護士を主人公にした法廷ミステリの作品です。この作品は冤罪を被害者の家族側から描いた作品ですがそれに重きを置くのではなく主人公によって真相を明らかにするストーリーです。問題となるマスコミ、報道陣の所謂「推定有罪」についての批判が描かれていますが扇情的ではありません。
 無実の兄が獄中自殺したが刑が確定しているため社会からは「有罪」の扱われ方をしているが建前上は無罪で事件は終了し妹の再審請求は不可能であった。その真相を明らかにするために妹がとった手は、という展開のストーリーです。
 妹がとった手は非常に奇抜ですがそういう展開になったのは明らかに偶然だったのと結局ある人物の告白によって明らかにされるものの推理の余地はない点(というよりある人物の告白頼みになってしまっている点)、また現実にはこの兄の事件であれば冤罪にならずに釈放されそうな内容であり甘い点が多い気はします。また自殺の動機もよく考えればかなり独りよがりな所もあり自殺する必要があったかどうかも疑問に思います。
 日本では法廷ミステリが珍しい上に小杉健治の作品は事件の選び方がうまく個人的には好きな作家です。この作品もしみじみとした筆致で描かれている上品な作品で(描かれている人物は上品な人間ばかりではないのですが)読後感は良かったです。


キーワードから探す
小杉健治
2003年07月
父からの手紙
平均:6.00 / 書評数:1
1997年11月
失踪
平均:4.00 / 書評数:1
1994年01月
特許裁判
平均:6.00 / 書評数:1
1987年08月
偽証
平均:6.00 / 書評数:1
1987年05月
平均:6.50 / 書評数:2
1986年06月
二重裁判
平均:7.00 / 書評数:1
1986年01月
原島弁護士の愛と悲しみ
平均:7.00 / 書評数:2