海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格/新本格 ]
ヘビイチゴ・サナトリウム
ほしおさなえ 出版月: 2003年12月 平均: 5.00点 書評数: 2件

書評を見る | 採点するジャンル投票


東京創元社
2003年12月

東京創元社
2007年06月

No.2 5点 nukkam 2020/06/02 21:15
(ネタバレなしです) 詩人の大下さなえがほしおさなえ名義で2002年にミステリー賞応募したミステリーデビュー作で、受賞は逃したものの翌2003年には単行本化されました。女子高で女生徒が墜落死します。それ以前にもやはり女生徒が墜落死していたり、女生徒と深い関係があると疑われた男性教師には2年前に妻が自殺した過去があったりとただならぬ人間関係が示され、ついには問題の教師までもが墜落死します。多数の内心描写が交互に描かれるし、複数の小説原稿が入り乱れてどの原稿がオリジナルで作者は誰なのか、他の原稿は代作なのか盗作なのかと謎は深まります。時に幻想味さえ漂わせるもやもやした展開ですが、物語の2/3ほどで犯人の自白があって一応は収束します。もっともそこからまだまだ細かい謎解きがあり、プロローグまで試行錯誤が続きます。本格派推理小説としてつじつまの合う推理がありながらどこか釈然としない読後感を残す作品です。

No.1 5点 あるびれお 2009/06/23 06:03
正直なところ、あまり期待していなかった。でも、いい意味で裏切られた。細かなところを指摘すれば、「そりゃないだろう?」っていうところも何箇所かあるのだけれど、フェア・アンフェアについても不満は感じたけれど、それを許せるだけのものだった。
現実とフィクションが同じ時間軸に中で混在していて、それを読者に気づかせずに物語が進行していき、最後の最後にオープンにする。そこまでメタな構造のミステリだとは思わなかった。なにせ、作者は純文学出身だっていう先入観があり、そんな凝ったことをやってくるとは予想外であった(この「予想外」こそが、ミステリを楽しく感じるエッセンスなんだけれど)。
ただ、この人の文章の特徴なのかもしれないが、三人称と一人称の視点がぶれる(三人称の文章の地の文に、いきなり一人称の心情が入ったりする)のはイマイチかな。


キーワードから探す
ほしおさなえ
2018年08月
菓子屋横丁月光荘 歌う家
平均:6.00 / 書評数:1
2014年07月
駅のふしぎな伝言板
平均:5.00 / 書評数:1
2011年03月
オレンジの陽の向こうに
平均:7.00 / 書評数:1
2011年01月
空き家課まぼろし譚
平均:7.00 / 書評数:1
2005年07月
天の前庭
平均:5.00 / 書評数:1
2003年12月
ヘビイチゴ・サナトリウム
平均:5.00 / 書評数:2