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[ SF/ファンタジー ]
ネッシー殺人事件
友成純一 出版月: 不明 平均: 5.00点 書評数: 1件

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アドレナライズ


No.1 5点 人並由真 2026/06/19 17:05
(ネタバレなし)
 東京都の一角。老舗の米屋の長男で一浪してW大の理学部に入学した19歳の戸田雷太は、 両親が多角経営するアパートの一室に入居。そこで高校時代の友人、田中良と鈴木高雄と一緒に酒盛りしていた。雷太は同じ大学の学友で、スコットランドのネス湖にともに出かけた総勢5人のメンバーのひとりでもある女子・麻生ちえ子を宴の場に招いている。だが気が付くと田中が血まみれの惨死体となっており、雷太はネス湖の周辺から持ち帰って来た<あるもの>が無くなっているのに気が付く。

 エログロ&変態猟奇趣味で有名で、広義のSF&ホラーの著作もかなり多い作者だが、その作風の凄まじさのせいか本サイトにもいまだ登録がない。作者ご本人は破天荒な作家人生を送った末に数年前に他界されたようですが。
 評者はだいぶ前に角川ホラー文庫の書き下ろし長編『幽霊屋敷』を読んで、そのあまりのグロさと後味の悪さにげんなりした記憶がある。ああ、思い出してしまった、あの作品。

 そんな作者が80年代の終盤から90年代の初めにかけて講談社ノベルスで出したのが、広義の怪獣をテーマにした「怪獣シリーズ」三部作。本作は『放射能獣ーX』『インカからの古代獣Ⅴ』に続くそのシリーズ三作目で最終編。一本一本はノンシリーズで世界観も繋がってないはず(初代ゴジラのほぼ80年代版バリエーションみたいな『X』は出てすぐ読んだけれど、伝奇オカルト要素がはいるみたいな『V』はいまだ未読だが~まあそのうち読んでみたくなってきた)。
 で、本作『ネッシー』の方は、巨大怪獣が猛威をふるう二作と差別化し、エイリアンの幼獣みたいなネッシー(最終的に数メートル程度)が都内で殺戮を繰り広げる内容。

 怪獣に食い殺される被害者のグロ描写はあるが、そのバイオレンスぶりにしてもこの作者にしてはまだおとなしい方のはずで、さらにエロ要素は皆無。著者のイカれた作品ばかりの著作群のなかでは、比較的地味な方であろう。

 というか、あっという間に怪獣騒ぎの事態は終着(ラストがどうなるのかはナイショだが)しちゃう筋立てで、むしろ中盤で時系列を戻して語られるスコットランドでのネス湖の現地探求のくだりの方が臨場感(さらに昭和のUMA学術研究的なロマン)があってオモシロイ。

 トータルとしてはよくも悪くも他愛ない、日常社会に等身大+αサイズの怪獣が出現したら、というシミュレーションSF。
 人死に続出の凄惨な事件ながら、主要人物たちの描写の方にうっすら泥臭いユーモア味はあるので、まあ口当たりはよい。評点はこんなもんでしょう。
 いくらでも伸びしろはあったのに、作者のやる気があまり感じられなかった作品といえるかも。
 他国の怪獣を国内に持ち込んでしまった主人公たちの責任意識の所在という隠れテーマは『ガメラ対バルゴン』をちょっと想起させないでもなかった。


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友成純一
不明
ネッシー殺人事件
平均:5.00 / 書評数:1