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母という呪縛 娘という牢獄
ノンフィクション
齊藤彩 出版月: 2022年12月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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講談社
2022年12月

講談社
2026年03月

No.1 6点 メルカトル 2026/06/17 22:45
2018年3月10日、土曜日の昼下がり。
滋賀県、琵琶湖の南側の野洲川南流河川敷で、両手、両足、頭部のない、体幹部だけの人の遺体が発見された。遺体は激しく腐敗して悪臭を放っており、多数のトンビが群がっているところを、通りかかった住民が目に止めたのである。
滋賀県警守山署が身元の特定にあたったが、遺体の損傷が激しく、捜査は難航した。
周辺の聞き込みを進めるうち、最近になってその姿が見えなくなっている女性がいることが判明し、家族とのDNA鑑定から、ようやく身元が判明した――。
Amazon内容紹介より。

高崎あかり(仮名)31歳が母の妙子(仮名)58歳を殺害し、死体を切断し遺棄するまでの二人の関係性を克明に描いたノンフィクション作品。妙子は国立大学の難関校の医学部を娘に強要し、娘は母の期待に応えようと必死に勉強し、9年も浪人生活をしていた。この9年の間にに何があったのか。あかりは妙子の度重なる虐待に耐えました。時には鉄パイプで背中を叩かれ、又ある時は庭で土下座させられ、足に回し蹴りを喰らわされ痣ができる程であったと言います。又、血文字で反省文を書かされたり、妙子の書いた叔母への偽の手紙を無理やり清書させられたりもしました。

これでもかという母の暴力や叱責に耐えきれなくなったあかりは、遂に母を殺すことを決意します。切断した四肢と頭部はゴミに出したと言います。そこから事件が発覚する事はなく、残った胴体部分が破棄されたことから事件性が見出されました。
しかしこれも、最初は動物の死骸と間違われています。これは私には疑問に思わざるを得ませんでした。果たして人間の死体の一部と動物の死体を見間違えるものだろうかと。しかし、そんな事よりも理解出来ないのは、妙子は何故看護師ではなく助産師に拘り続けたのかという事です。それさえ妥協していれば悲劇は起こらなかった筈なのに。

本書は全編に亘ってあかりの証言や書簡で構成されており、著者はそれを纏めて作品という形に仕上げるまでに2年掛かったと言います。これだけの内容を作り上げるのに2年は短い様に感じます。それだけ著者があかりと頻繁に面会し、友好的な関係を築いたことが伺えます。どうしてもあかり目線で描かれたノンフィクションなので、彼女に感情移入せずはいられませんでした。9年という永い地獄のような日々は彼女に何を齎したのでしょうか。


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齊藤彩
2022年12月
母という呪縛 娘という牢獄
平均:6.00 / 書評数:1