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[ SF/ファンタジー ]
化石(いし)の記憶
漫画
たがみよしひさ 出版月: 1985年12月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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秋田書店
1985年12月

No.1 6点 クリスティ再読 2025/12/11 19:21
たがみよしひさの作品はすでに探偵劇の「NURVOUS BREAKDOWN」を取り上げていて、そっちはギャグ味のある二頭身作品だけど、こっちはシリアス八頭身作品。しかもハードボイルドSF伝奇ミステリアクションとでも言った方がいい、かなり贅沢なジャンルミックス作。「AKIRA」の対抗馬、というのか同じ週刊誌サイズで秋田書店から出版。大友克洋と革新性で競った作家だからこその待遇でもある。

N県の寒村「赤森」に伝わる「ぬし」の伝説。美袋竜一は両親の死にかつての「ぬし」出現が関係していることを知り、その仇討ちのためにも赤森を訪れた。そこで出会った考古学者本庄は7000万年前の人類の頭蓋骨化石を見つけてしまう...伝説の宝「竜哭」を手に入れようとする複数の勢力の抗争に竜一は巻き込まれつつ、「ぬし」の正体に迫っていく...

という話だけど、この集団抗争劇がキャラが多くて関係性がややこしい。裏切りやら各陣営の合従連衡が複雑で、ここらへんにミステリ的な興味が出ている。たがみよしひさ特有のひねったセリフ術を生かした竜一のハードボイルド的造形がなかなかいい。まあ確かに「軽井沢シンドローム」の相沢耕平だってナンパでやや丸くなってるけどもハードボイルドと言えばそうかもな。竜一の方がずっとシャープな造形。
でも話のキモはSF。「ぬし」の正体はジュラ紀の恐竜で、「竜哭」は一種のタイムマシン。だからクライマックスはタイムワープと恐竜の襲撃というSFアクション。「ジュラシック・パーク」より全然早い。全3巻だけど3巻目はジュラ紀サバイバルSF。マジのたがみの画力が炸裂するアクション。絵にはファッション画風の立ち姿の美がある。最後の方にキャラたちの大部分が集まって立っているあたりがなかなかに痺れる良さ。

SFはいい程度にわけが分からなさがあるか。意外に「伝説の作品」という評価があるなあ。たがみよしひさの芸風の幅広さとエンタメ全体への知識の広さが産んだ作品と言えよう。力作。


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たがみよしひさ
1997年04月
NERVOUS BREAKDOWN
平均:7.00 / 書評数:1
1985年12月
化石(いし)の記憶
平均:6.00 / 書評数:1