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[ 青春ミステリ ] 謎好き乙女と壊れた正義 謎解き乙女シリーズ |
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瀬川コウ | 出版月: 2015年08月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 新潮社 2015年08月 |
No.1 | 6点 | メルカトル | 2025/10/08 22:36 |
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その青春(ミステリ)は間違っています。紫風祭。藤ヶ崎高校の学園祭を早伊原樹里と回ることになった春一は、その道中で相次いで“謎”に遭遇する。開会式で用いる紙ふぶきの消失。模擬店と異なる宣伝看板を並べる実行委員。合わない収支と不正の告発。初夏の一大イベント真っただ中で起こる事件を追う中で、二人は学祭実行委員長・篠丸の暗躍を知る……。正義とは何か。犯人は誰か。切なくほろ苦い青春ミステリ、第2弾。
Amazon内容紹介より。 正直言いますと、一章の途中で何度も挫折しかけました。もう読むのを止めようか、今ならまだ引き返せる、放り投げてしまえとか色々考え乍ら読んだため、一章のストーリー等はほとんど覚ていません。しかし二章、三章、五章はかなり骨があり青春小説とは思えない密度の濃さを見せ付けています。最後まで読んで良かったと心から思った瞬間でした。 主人公の春一と早伊原の関係は微妙で、恋人同士に見えてそうではなく、お互いに好意を寄せている仲ではありません。それにしても、これほど人間の正しさとは何か、善とは何か、青春とは何かを深く掘り下げ追及したミステリは初めて読みました。それがストレートに表現されているのではなく、回りくどいのが玉に瑕ですが、ブラックな青春ミステリとして完成度は高いです。 ジャンルは日常の謎に属するものだと思いますが、ある人物の心理をこれでもかと抉り出し自身でさえ気付かなかった心情を剥き出しに開示される最終章は圧巻でした。 |