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[ その他 ] 祈れ、最後まで サギサワ麻雀 |
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鷺沢萠 | 出版月: 2004年07月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 竹書房 2004年07月 |
No.1 | 7点 | メルカトル | 2025/08/09 22:53 |
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この呆れるほど静かで、けれど熱い気持ちは何なのだろう。(小説「祈れ、最後まで」本文より) 鷺沢萠の愛した世界、最初で最後の麻雀作品集。没後に発見された中編小説「祈れ、最後まで」未発表・完全版、笑って泣ける痛快エッセイ「サギサワ麻雀」を収録!!
Amazon内容紹介より。 サギサワ麻雀はエッセイ集。『祈れ、最後まで』は中編麻雀小説。 エッセイの方は自身や他人の麻雀でのミスやチョンボ、フリテンなどの失敗を綴った物が殆どで、これがまた一々面白いのです。小島武夫、藤原伊織くらいしか有名人は出て来ませんが、頻繁に登場するのが小田原ユキという人物です。調べてみたら著者と親交が深かったというだけで、詳細は何も分かりませんでした。ただ、二人ともガメり過ぎてリーチが掛かると途端に捨てる牌が無くなるという不運に見舞われていたようです。安全牌を持たず、目一杯手を広げてしまうクセが牌図によく表れています。この様に自虐ネタがほとんどで、その方が読む側としては笑える事が改めて実感できました。 『祈れ、最後まで』は打って変わって本格麻雀小説ですが、元雀ゴロに見込まれた、雀荘のメンバーである主人公の若者が、それほど強くないのが残念でした。タンピン三色一盃口のイーシャンテンの手に、わざわざ後々危険になりかねないドラ(一盃口の中膨れ)をいつまでも暗刻で抱えたりして、手を広げ過ぎの感が否めません。一般的に言えば安パイを一枚持つ形に構えるのがセオリーですから。 まあしかし、そう云った些事に目を瞑れば麻雀小説として十分楽しめるものでした。著者は35歳の若さで自ら命を絶ち永眠されました。そうした事情を考える上で、カッコいいお姉さん(結構美人)だったと同時に、ある種破滅型の人だったのかなと、何ともやりきれない思いに駆られる私なのでした。 |