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[ ホラー ] ばけてろ 成仏って、したほうがいいですよね? ばけてろ |
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十文字青 | 出版月: 2009年10月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 角川書店(角川グループパブリッシング) 2009年10月 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | 2025/06/11 11:27 |
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(ネタバレなし)
巨乳美少女高校生の天然娘・島原千代子は、友人で唯我独尊な性格の巨乳美少女・兎我野(とがの)メルカとともに、母校の大本山高校から徒歩20分の古い大屋敷を訪ねる。屋敷には女子たちと同年代ながら高校に行かない少年・刑天文院景敦(けいてんもんいん かげあつ)だけが、黒猫の「オヤジ」と住んでいた。母校の怪異「首吊り少年の幽霊」に遭遇した千代子は、優れた霊能者と評判の高い景敦に対処を願うが。 ホラー風味のオカルトコメディ(2~3割ほどシリアス)のラノベ。霊感能力は乏しいくせにオカルトにはマニアックなほどに興味があるツンデレ美少女メルカが、景敦からいやらしい施術を受けると霊感が高まるというお約束の趣向(というか文芸設定)で、話も紙幅の割にさほど広がらない。 大きなエピソードが2つ、小さなエピソードが1つあり、あとの方でもうひとり変化球のエロいヒロインが出てきて、本当によくある内容のネタだけで一冊もたせた、という気もする。 (アクションホラーとしては特記することはなく、後半は実質、男子の隠し持っていたアダルトソフト発見、きゃー何これ、ネタだし。) ただし主人公3人はそれなりに(ラノベキャラとして)魅力があり(景敦との距離感に繊細に気を使うメルカが可愛い)、景敦が背負うつもりになっている、彼自身の宿命についての覚悟も地味に重い。 本サイトで扱わなくてもいいんじゃないの? と我ながら思うが、一応はローファンタジー(現実と地続き)的なホラー作品だし。それにあとがきで作者も「年齢、性別、国籍問わず、いろいろな方に楽しんでいただきたい」と書いてるし(笑)。 (まあ作者の読者想定内に、シャーリィ・ジャクスンの『山荘綺談』連載終了直後からミステリマガジンをリアルタイムで読んでいたジジイが含まれているかは疑問だが……。) 2009年の旧作で、数年前に購入した古書を本の山のなかから見つけて読了。後半でメインヒロインのひとりが半裸にされるが、この時期のラノベでは珍しく? 下着の呼称にパンツでなくパンティという言葉を使ってるのに軽く驚いた。2010年代のラノベではほぼ絶滅してるよな? いや、さすがに広い視野で確認したわけではないが(汗)。 ほかにヒットシリーズを何作か出してるらしい作者だが、評者はこれが初読み(テレビアニメ版の『灰と幻想のグリムガル』は観てた)。本シリーズは2冊で打ち止めになってあと一冊だけのようだがちょっと残念なような、まあ仕方ないような。2冊目は古書を安く買えたら購読するであろう。 |