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[ SF/ファンタジー ]
タダイマトビラ
村田沙耶香 出版月: 2012年03月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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新潮社
2012年03月

新潮社
2016年10月

No.1 6点 メルカトル 2025/06/06 22:25
母性に倦んだ母親のもとで育った少女・恵奈は、「カゾクヨナニー」という密やかな行為で、抑えきれない「家族欲」を解消していた。高校に入り、家を逃れて恋人と同棲を始めたが、お互いを家族欲の対象に貶め合う生活は恵奈にはおぞましい。人が帰る所は本当に家族なのだろうか? 「おかえり」の懐かしい声のするドアを求め、人間の想像力の向こう側まで疾走する自分探しの物語。
Amazon内容紹介より。

村田紗耶香は特別感がありますね。発想力、表現力、描写力、文章力全てに於いて他を圧倒し、抜きん出ている気がします。皆どこかおかしいです。真面な人間はほとんど出て来ません。それが歪んだ世界を全身で表現しているようで、作者の正気を疑いたくなります。何を書かせても異常な物語を紡いでしまう、それが村田紗耶香なのです。狂っていると言っても良いでしょう。

ラストの怒涛の展開には瞠目すべきものがありました。それまでの狂気とはまた質の違う新たな世界へのトビラ。そのトビラの向こうは果たして本当の新世界なのか、或いは気の狂った世界なのか。そこには私の様な凡人の想像の付かない、正常とも異常とも付かない、誰も見た事のない世界が広がっているのでしょう。
尚、文庫本の解説は非常に腑に落ちるもので、とても親近感を覚えました。


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