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[ 社会派 ]
魔者
小林由香 出版月: 2024年08月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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幻冬舎
2024年08月

No.1 7点 HORNET 2025/04/15 23:11
 週刊誌の記者である今井柊志は少年時代、兄が高校生をリンチして殺人を犯した。そんな柊志を守ってくれていた姉・小代子は、事件の翌月にトラックにひかれて死んだ。以来、加害者家族であることを隠して過ごしていた柊志だったが、ある日、雨宮世夜という作家が書いた小説を読み衝撃を受ける。そこには、柊志と亡き姉・小代子だけが知っている、事件のことが描かれていたのだ―同じ頃、柊志の職場に「今井柊志は人殺しの弟」という脅迫めいた電話がかかってくるようになる。いったい誰が、何の目的で過去を暴こうとしているのか―

 犯罪被害者、加害者を題材に、その苦悩や内実を描くのはこの作者の十八番。今回もまた、加害者家族を主役に据えながら、過去の事件の真相を探るストーリーとなっている。柊志の兄が殺したのは、姉・小代子の親友、梨七の弟。無二の親友に弟を殺された梨七の苦悩、悲しい断絶。小代子の死が本当に事故だったのか、という謎も加わり、読み応えのあるストーリーになっている。
 運命の交差ができすぎている感はあるものの、それゆえに面白い物語となっているので、それを純粋に楽しんだ。


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小林由香
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