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[ 本格/新本格 ]
百人一首一千年の冥宮
湯川幸四郎 & 冷泉恭介
湯川薫 出版月: 2002年08月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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新潮社
2002年08月

No.1 5点 nukkam 2025/01/18 01:09
(ネタバレなしです) 2002年発表の湯川幸四郎シリーズ第5作の本格派推理小説です。タイトルが高田崇史のQEDシリーズみたいだなと思っていたら新潮ミステリー倶楽部版の参考文献一覧の中に「QED 百人一首の呪」(1998年)と「QED 六歌仙の暗号」(1999年)があったのには思わず笑ってしまいました。三部構成の物語ですが第一部は1992年から1993年にかけてのニューヨークが舞台だったのに意表を突かれます。指を失って絶望したピアニスト(語り手)が主人公で、一目ニューヨークを見てから自殺しようとしますがそこで運命の女性に出会い、第二の人生を始めます。やがて血文字で百人一首の俳句が書かれたタロットカードが次々に送られるようになり、ついには密室での二重銃殺事件が発生します。第二部からは現代(2002年)の日本に舞台が移って湯川幸四郎や教え子たちが登場して謎解きしていきます。語り手もワトソン役の公文洋介に交代します。百人一首や五家荘伝説といった日本の文学歴史の知識に加えて作者得意の理系ネタも用意されており、何と科学による魔術に挑戦です(幽体離脱トリックが印象的)。私には難解な作品でしたが、トリックは異なりますけど柄刀一の「fの魔弾」(2004年)を連想しました(本書の方が先に書かれています)。意外だったのは湯川幸四郎の活躍は控えめで、事件解決したのは教え子の冷泉恭介でした。


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湯川薫
2002年08月
百人一首一千年の冥宮
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