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[ 本格/新本格 ]
迷探偵の条件 1
真丘陸
日向夏 出版月: 2021年10月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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KADOKAWA
2021年10月

No.1 6点 人並由真 2024/12/05 10:22
(ネタバレなし)
 21世紀の少子化時代にあって、一学年につき約1000名もの生徒を誇るマンモス私立高校「葉桜高校」。その2年C組に所属する「俺」こと17歳の真丘陸は、18歳までに運命の女性と出会わねば死ぬという厄介な家系の末裔だった(どうやら太古の神代の神々の呪いらしい)。危機打開のため運命の相手を探す陸だが、彼にはヤンデレ女ばかり引き寄せてしまう女難体質、そして少しでも行動を起こせば事件に遭遇するという探偵体質、その二つの面倒な属性があった。

 一年位前だったか深夜アニメで中華風の異世界もの『薬屋のひとりごと』というのをやっていて、周囲のアニメファンの友人たちの中では、何人かがそのシーズンの覇権作品にあげるほどに高評だった。ただし自分はなんとなくパスしてスルーしてしまい、いまだに観てない。その『薬屋~』の原作であるラノベの作者が、このラノベミステリ『名探偵の条件』の日向先生であった。

 でまあ、アニメ化もされてヒット作となった『薬屋』は現時点ですでに十数冊も発刊されているようだが、こっちの方はいまだ本書、第一巻の一冊のみの刊行(3年前に第一巻ということを考えれば、せめて2~3冊は続刊が出ていてもよさそうなものだ)。せっかく最初から通しナンバー入れてるのに。
 というわけで、ものの見事に生みの親に差を付けられてしまった看板作品の陰のマイナーシリーズという感じだが、ブックオフの100円棚で美本に出合ったのを何かの縁と思い、読んでみた。

 正直、陸の大設定2つはほとんど出オチのような印象だったが、最後まで読むと少なくとも片方は(中略)。あ、まあムニャムニャ……。

 ミステリとしての事件は、殺人を含めて学内やその他で数件が発生。連作短編的にエピソードを繋げて、最後に……のパターン。これもあんまし言わない方がいい。

 最初の事件は、伏線が丁寧過ぎて「あー」と早々に犯人がわかるし、途中のある事件は「え、その決着でいいの?」のパターン。特に後者は確信行為でやってるのなら、ソレはソレで……ではあるが、ちょっとなんか天然っぽい気がする。で、終盤の事件……個人的にはこれが一番、面白かった。まあミステリというよりは、ラノベというか小説として、だが。

 総じて(最後のサプライズも含めて)そんなに大騒ぎしたり、第2巻が待ち遠しい! といきなり新参者が大声で叫ぶほどのものじゃないのだが、なんというか、どっか車輪の車軸が曲がった自動車に乗って疾走しているような、ぴょんぴょんあちこちの方向に跳ね回るような連作の感触は、それなりに楽しかった。なんとなく本サイトのメルカトルさんあたりがお読みになったら、大したものはありません、と切って捨てられそうな感じのところもあるが(メルカトルさん、勝手な物言い、すみません・汗)。

 まあ、第2巻が出たらたぶん読むとは思います。ただまぁ、たぶん新刊では買わないと思うけど(汗)。


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日向夏
2021年10月
迷探偵の条件 1
平均:6.00 / 書評数:1