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[ 時代・捕物帳/歴史ミステリ ]
歌人探偵定家 百人一首推理抄
羽生飛鳥 出版月: 2024年06月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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東京創元社
2024年06月

No.1 6点 HORNET 2024/11/17 16:07
 源平合戦が終結した平安末期。平家一門の生き残りである平保盛は、亡き父・頼盛が守り抜いた一族の暮らしを絶えさせぬよう、静かに暮らすことを心掛けていた。だが都は盗みや殺しが横行する荒んだ日々。そんなある日、和歌が添えられた女のバラバラ死体が発見される。偶然その場に巡り合った保盛は、和歌をこよなく愛する朋友・藤原定家とともに、その真相解明に乗り出すことになる―

 「平家物語推理抄」シリーズの続編という位置づけであろう、頼盛の息子・保盛をワトソン役とし、当代きっての歌人・藤原定家を探偵役とした連作短編。殺された遺体に添えられるなど、何らかの形で百人一首に収録された和歌が絡んでおり、事件の概要を描く段は「上の句」、解決編を「下の句」として組み立てた構成はなかなかに洒落ている。時代風俗や政治背景も巧みにちりばめられ、歴史ミステリ期待の新人といえる出来栄えは、前作以降も変わらないと感じる。
 1話目「くもがくれにし よはのつきかな」3話目「からくれなゐに みづくくるとは」が個人的にはよかった。いにしえの古都が舞台となっているので、科学的な緻密さは当然弱いが、その時代なりのロジックが考えられていてそれもまた面白い。
 ただ定家のキャラがラノベ風にぶっ飛んでて、前シリーズのような歴史ものの重厚さは薄れた。定家のセリフにやたらと「・・・っ!」が多用されるのは少し煩かったかな。


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羽生飛鳥
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