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[ サスペンス ] 終電の神様 『終電の神様』シリーズ |
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阿川大樹 | 出版月: 2017年02月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
実業之日本社 2017年02月 |
No.1 | 5点 | 斎藤警部 | 2024/04/15 21:05 |
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「初回のお客様は○○○○○はサービスなんです」
同じ『終電人身事故』に巻き込まれた人々それぞれのその後の深夜の物語を紡ぐふんわり系日常のサスペンス・・・だけではなかった(!)連作7篇。 良い意味であっさりした、行きずりの感動が次々と得られます。 良い意味で小器用な叙述のアレがちょいちょい。 少しだけ不器用さが見える全体構成も温かし。 第一話 化粧ポーチ 深夜の事故停車中、痴漢めいた行為に遭う主人公には、帰宅前に「どうしても」寄らねばならぬ場所があった。 ある場面で主人公の放った一言が「アレ」なわけですね。。 いいジャブもらいました。 第二話 ブレークポイント 納品クライシスに直面する零細IT企業にて、社長から突然の全員休暇命令、ところが帰宅中の終電が事故停止。 歩いて帰宅するプロジェクトリーダーの主人公は、ふとボクシングジムの前で立ち止まる。。 仕事場の活気が伝わって来るのは良いが、こんなほんわかエンディングで大丈夫なのか.. 第三話 スポーツばか 主人公の「不可解な行動」が引っ張るホワット/ホワイダニット興味が光る前半を踏まえ、拗れた人間ドラマで迫る後半。 競輪選手である恋人の家へ、一人の夕食を終えて急ぐ主人公は、終電の人身事故で足止めを喰らう。 最後の「嘘」は、ちょっと苦笑というか、何だかねw 第四話 閉じない鋏(はさみ) タイトルが泣かせた。。。「今夜が山」の父のもとへ終電で急ぐ主人公が、人身事故で身動き取れなくなった時間、いらつきつつも、様々な考えを巡らす。 ラストシーンが良い。重さより爽やかさが勝っていると思います。 第五話 高架下のタツ子 ここでささやかな変化球。 美学生の恋人に会いに来たイラストレーター。ところが恋人は人身事故で終電に閉じ込められたという。それも目と鼻の先の高架で。すぐそばにいるのに触れ合えない二人。 そこへロングスカートの謎の人物が現れ、自らの「遠い過去」の話を始める。 しばらくして電車から解放された美学生の恋人は「謎の人物」の友人で、その人の「近過去」の深堀りした話を主人公に伝え聞かせる。。 甘えなあ、なんて思いつつ、ついじんわり来てしまいます。 第六話 赤い絵の具 変化球。 美大を目指すエキセントリックな高校生が取った驚きの(!)行為が発端となり、クラスメイトが朝のプラットホームで思い切った行動に出る。 ミステリ度というか、ミステリっぽさはいちばん高いのかな。 第七話 ホームドア 本連作集の中ではいちばんの変化球。 ベテランKIOSK店員の日常と、凄い過去と、皮肉ながら明るい未来。 中途の物理サスペンス展開はやばかった。 最後にある事が明らかになるシーン、ある「死角」が鍵を握っていたなんてねえ。。二十五年間も。。。。 唯一書き下ろしの最終話を読了すると、連作短篇集全体の時○○が突如気になりだす仕掛け、と言って良いのでしょうか。 それと、是非、本作のチョイ役男優賞はマイケル・ジャクソン氏、並びにクインシー・ジョーンズ氏に差し上げたいですね。 |