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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
シロナガス島への帰還
私立探偵・池田戦&その助手・出雲崎ねね子
鬼虫兵庫 出版月: 2023年09月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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KADOKAWA
2023年09月

KADOKAWA
2023年09月

No.1 6点 人並由真 2024/01/27 05:31
(ネタバレなし)
 ニューヨークで私立探偵を営む中年男・池田戦(いけだ せん)は、大富豪ロイ・ヒギンズの一人娘エイダの依頼を受け、その父親の素行調査を行なっていた。娘は父を敬愛していたが、何か最近、不審を抱く事情があるらしい。そんななか、そのロイ当人が首吊り自殺。エイダの依頼で調査を続行した池田は、事態の背後にアリューシャン列島にある孤島「シロナガス島」が関連するらしいと知った。エイダの依頼を受けた池田は、探偵助手で天才的な記憶力の少女である出雲崎ねね子とともに、ヒギンズ家の関係者を装ってシロナガス島に向かうが。

 当初は完全個人製作のアドベンチャーゲームながら、人気タイトルとして各方面の支持を得てメジャー(マイナーメジャー?)コンテンツにまで成長した2018年のゲーム『シロナガス島への帰還』。その企画拡大のなかで、ゲームの作者でもともと作家でもあった鬼虫兵庫(おにむし ひょうご)が2023年に執筆した、上下二冊の公式メディアミックス小説。
(原作者当人が著しているから狭義のノベライズではないかもしれないが、広義のノベライズとはいえるかも。)
 
 話題になっているみたいなので、評者はゲームは未プレイのまま、この小説版から読んでみた。

 シロナガス島の巨大ホテル「ルイ・アソシエ」に物語の舞台が移ったのち、池田とねね子以外にも集められた招待客の中で、クローズドサークルもの風の殺人劇が発生。謎解きミステリ調で事件が動きながら次第にジャンルを越境していくのはまあ予想の範囲であった。
 正直、人気ゲーム作品(の小説版)としてはさほど目新しいものもないが、良くも悪くもある種の定食感はあり、その辺がアドベンチャーゲームジャンルが下火になっている昨今のなか、話題作を求めていたファンに支持されたのだろう。
 とはいえ下巻の終盤、タイトルの意味がわかる瞬間には、ちょっと心に響くものはあった。人並みに。

 池田とねね子は(特に後者などは若干、設定を変えながら)作者のほかの作品にも登場する、シリーズキャラクターらしい。
 またそのうち、どっかで会う機会もあるだろう。今度は純粋にオリジナルのミステリ小説(広義の、で、いいから)で再会してみたい。


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鬼虫兵庫
2023年09月
シロナガス島への帰還
平均:6.00 / 書評数:1