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[ 時代・捕物帳/歴史ミステリ ]
神器 軍艦「橿原」殺人事件
奥泉光 出版月: 2009年01月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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新潮社
2009年01月

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2009年01月

新潮社
2011年07月

新潮社
2011年07月

No.1 6点 麝香福郎 2023/12/20 21:28
物語はすでに日本の敗色が決定的となった昭和二十年初頭。この絶望的な戦況を打開すべく、軽巡洋艦「橿原」が極秘の任務を帯びて出航することから動き出す。だが、士官を含めた乗務員のほとんどは、艦の行き先どころか、任務内容も目的も知らされていなかった。
この大きな謎に加えて「橿原」の艦内にはいくつもの謎、不可解な出来事が頻発していた。正体の知れぬ客人乗員、開かずの金庫に積み込まれた神器、自分とそっくりな人間を見たという証言、大量発生するねずみ、そして乗務員の失踪と変死事件。これらは「橿原」の任務と何か関係があるのかどうか。一切が明かされぬまま、物語は時空を超え、人智を越えた展開となっていくk。
しかしながら、やがて「橿原」の真の目的が見えてくるにつれ、全ての様相が一変していくのである。神器を艦内の奥深くに抱いた「橿原」と乗務員は、神国日本に再び神風を呼ぶ装置としての役目を担っていたのであった。そこから繰り広げられる戦争論や日本人論は白眉。歴史の虚構性と虚構としての小説とを見事に融合している。


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