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[ サスペンス ] シークレット・ヒストリー 改題『黙約』 |
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ドナ・タート | 出版月: 1994年08月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
扶桑社 1994年08月 |
新潮社 2017年07月 |
No.1 | 6点 | SU | 2023/03/24 23:27 |
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カリフォルニア生まれの青年リチャード・パーペンは大学の医学部を目指していたが、途中で挫折してしまい親の反対を押し切って、バーモント州のハンプデン・カレッジに編入学する。彼がバーモントに赴いたのは気まぐれによるものだったが、これがやがて恐るべき事件に結びつくことになるのだった。
本書は作者が二一歳で執筆を開始し、八年間を費やして書き上げた。二八歳のリチャードが八年前の事件を回想するという構成で書かれているのは、そういった現実が反映されているのだろうと思われるが、このあたりからも作者の強い思い入れが感じられる。それだけに人物描写にも生彩があり、とりわけ学生たちの心理描写は迫力に満ちている。 文章の随所にギリシャ語やラテン語が散りばめられているのも作品に風格を与えている。異様なまでに高い密度を持った、息が詰まる心理劇である。 |