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[ 時代・歴史ミステリ ] 吠える男 ニコラス・ブレースウェル 別名儀キース・マイルズ |
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エドワード・マーストン | 出版月: 1997年02月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1997年02月 |
No.1 | 6点 | tider-tiger | 2023/03/03 00:08 |
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~16世紀末のロンドン。混乱を極めた劇団ウエストフィールド座の舞台。自信を喪失しているお抱えの脚本家。歯痛に苦しむ座長。ろくでもないことばかり。舞台進行係にして劇団の支柱でもあるニコラス・ブレースウェルはお疲れだった。そんな彼の元に脚本が持ち込まれる。
ちょっと迷惑だったが、相手は「読めばわかる」と自信満々だった。 読みはじめてすぐにわかった。脚本には犯人がすでに処刑されてしまっているとある殺人事件の真相がモザイクなしで描かれていた。 1995年イギリス。だけどアメリカ探偵作家クラブ賞候補作品。エンタメとしては面白い。痛快。まあまあキャラ立ちしている劇団員たちが力を合わせて真相究明に乗り出していく序盤~中盤にかけては胸躍らされる。世界観もしっかりしている。作者は演劇史の研究家でもあるそうで、説明なしの具体的な描写で読者を16世紀末の劇団の世界に連れていってくれる。 ただ、面白くできそうな部分をあまり膨らませることなく、複雑さもなく、かなりストレートに真相に迫っていく展開を物足りなく感じる方もいるだろう。 ジャンルは時代ミステリとしたが、冒険小説に寄った作品であり、推理の余地はほとんどない。終盤も充分面白かったけれど、ミステリとしてはもうひとひねり欲しかったところ。そんなわけでエンタメとしては7点だが、採点は6点とする。 個人的にはなかなかの掘り出し物だと思っている。 シリーズ作品の第七作目であるが、邦訳は本作のみ。シリーズから出来のいい作品を一作だけ引っ張り出したのかなんなのか。日本語の情報が非常に少ない作家で、詳しいことはよくわからない。 別名儀がいくつかあるらしい。その中でキース・マイルズ名儀で書かれたゴルフ関係の作品があって、本サイトで江守さんが書評されていた。 |