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[ 社会派 ] 幼女と煙草 |
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ブノワ・デュトゥールトゥル | 出版月: 2009年10月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 2009年10月 |
No.1 | 7点 | メルカトル | 2022/12/30 22:51 |
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死刑を目前に控えた囚人は、最後の一服を要求した。しかし、刑務所の所長は完全禁煙の規則を盾にそれを拒否。事態は、煙草会社、法曹界、政治家を巻き込んで、奇妙な混乱へと陥っていく…。はたして、囚人は最後の一服を許されるのか?一方、禁煙の市庁舎のトイレで煙草をくゆらせていた職員は、幼い女の子に現場を発見される。威嚇して追い払ったものの、職員には告発の手が伸びる。やがて、囚人と職員の人生は、皮肉な形で交差する―注目の作家が放つブラック・コメディ。
『BOOK』データベースより。 ブラックではあってもユーモアではないと思います。大真面目に書かれたディストピア的な社会派です。煙草を忌み嫌い社会から排除する風潮があり、子供を過剰に甘やかし神格化するある国の物語。であるが故に主人公に起こった不条理な現実が痛々しく、やがて法廷にまで発展して・・・。そして一方では死刑囚が最後に煙草を所望した為に巻き起こる悲喜こもごもの、政治や社会に影響を与えた大事件。 この二つの物語が並行して語られ、それらが交差する時本作は佳境を迎えます。 冒頭、これは相当な傑作かも知れないと思いました。その予感は半ば当たり半ば外れました。もっと死刑囚が注目を集めて主役に躍り出ても良かった気もします。そして最後はやや意味不明な感じで終わったのが残念でした。まあ主人公の「僕」の気持ちも分からないではないですが。 ストーリーは予期せぬ方向へ転がり、全く先の予測が付きません。その意味ではサスペンス小説とも言えますし、ジャンル不明とも言えると思います。 |